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星を集める(読んだ本から、気になった文章を書き留めておく場所として)

 それからふたりは口をつぐんだまま、自分たちが受けた輝かしい教育を生まれて初めて呪った。この不愉快と怒りと不満が団子になったような惨めで悔しくてやるせない思いを解き放つにふさわしい悪たれとして、「くたばれ」という一語しか授けてくれなかった教育を、心の底から恨めしく思ったのだった。
――米原万里『終生ヒトのオスは飼わず』(文春文庫)

前もBを選んだのって私がB型だから?(違ったらごめんなさい)
――中村珍『羣青』下巻(小学館 IKKI COMIX)

 とてもシンプルな行いだけれど、体調を崩している誰かにチキンスープを持っていくことは、ただの食事を運ぶという意味以上に、その人のことを思っていると、全身で表現できる行為なのだ。
――キャスリーン・フリン(村井理子訳)『ダメ女たちの人生を変えた奇跡の料理教室』(きこ書房)

 年齢を重ねると、そういう按配が自然にできるようになってくる。冷蔵庫を開けて、そこに残っているものだけを使って、適当な(そして幾分は気の利いた)料理がすらすらと作れるようになる。リンゴとタマネギとチーズと梅干ししかなくても、文句は言わない。あるだけのもので我慢する。何かがあるだけでもありがたいのだと思う。そんな風に思えるのは、年を取ることの数少ないメリットのひとつだ。
――村上春樹『走ることについて語るときに僕の語ること』(文春文庫)

「普通にいつものきんぴらだと思って食べたら、うど。『春だよね』という話になって、『季節知らせてきやがった、こいつ』と思ってびっくりして(笑)」
――平松洋子『食べる私』ジェーン・スーさんの章(文藝春秋)


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