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ののさま文庫

あるイベントをきっかけに、ののさま文庫さまに本版『長岡百景』を置いていただけることになった。

そのイベントの翌日がののさま文庫の開館日で、本を楽しんでくださったという方とののさま文庫さまの投稿を見てうれしくなり、お伺いしてみることに。

ちなみに、「ののさま文庫」というのは、長岡市の与板町にある、照覚寺という浄土真宗のお寺さんの本堂にある図書スペースのこと。

道はそれほどややこしくないし、難なくたどり着けそう。
駐車場が空いていればいいな。

長岡市街からだと車で約20分。

途中一面に広がる雪原(雪に埋もれた田んぼ)と白い山々を眺めながら走る道中からすでに楽しい。

着くと、駐車場もきれいに除雪されていて、MAX4台停められる広さ。
参道前も冬季は解放されているらしい。

そして、参道を進むと、こじんまりとした本堂がカフェのような看板と一緒にお出迎え。


照覚寺本堂 ののさま文庫入口

お寺さんに仏様を拝みに行く以外の用事で行くのって不思議な感覚でワクワクする。

障子を開けて入る瞬間、奈良で仕事で行かせてもらってた幼稚園の礼拝堂の図書コーナーに入るときみたいな気分で少し懐かしかった。

入ると、低い長机の図書カウンターの向こうで、ののさま文庫を管理されている奥様がお出迎え。

思った以上の本の数と、工夫いっぱいの棚たちが並んでいて、その奥に阿弥陀如来様。

お寺の本堂というと、薄暗くて、床は足の先が凍るほど冷たくて、ちょっと手を合わせたらすぐ帰りたくなるくらい寒い場所ってイメージだったけど、それとは真逆で、お日様の光が障子越しにふんわりと入って、ストーブとホットカーペットでぬくぬく。
観音様も心なしかぬくぬくでうれしそうやなと思った。

『長岡百景』は観音様の近くの新刊コーナーに置いてくださっていた。
お下がりみたいでちょっとありがたい。

ののさま文庫の管理人さんが、奈良がお好きということで、奈良出身のわたしにも興味を持って下さって、一緒に『方言ずかん』(ほるぷ出版)で遊んで、奈良のことを話したり、新潟のおもしろい表現を教えてもらったり、それから人が交流できる場所の在り方など、いろんなことをお話ししてあっという間に閉館時間(かなりオーバーしたけど)。

おもしろい表現として教えていただいたのが
「おめさ きょう はかいったすけ しんでもいいよ」

もちろん「あなたは今日お墓に行ったから死んでもいい」ではない。

「はかいった」が「捗った」で、「しんでもいい」は「しなくてもいい」。

長崎弁で「亡くなる」を「死なした」っていうのを聞いた時も、「殺した」みたいな意味に聞こえてちょっとびっくりしたけど、音のつなぎ方とか活用の語尾とかの違いでまったく違う言葉に聞こえることはよくある。
その最たるものが琉球方言とか韓国語だと思ってる。

これは、話に出なかったけど、新潟の人は「〇〇の店」のことを「〇〇んち」という。

例)
「〇〇、行くのは楽しいけど、何も買わずに帰って来ちゃうんだよね」
「あそこんち高いもんねー」

個人商店が多い土地柄なのか、人の家のように言うのがいつも聞いていておもしろい。

話はそれにそれたけれど、ののさま文庫はめちゃくちゃオープンで、かつプライベートな図書館

お寺さんという場所なので、もちろん来るもの拒まずで、気さくな管理人さんやそのご家族とお話しするもよし。
また、本好きの管理人さんが選び抜いた本の中からお気に入りの本を見つけるもよし。

「本のあみだくじ」というものがあって、めちゃくちゃやりたい‼と思ったけど、また次回。

本に出合うという点ではミライエももちろんいい場所だと思う。

ただ、食べ物の香りという騒音とか、冬場の寒さに少し邪魔されて落ち着けないところがあるので、そのことを思うと、ののさま文庫のようなほんのりとお香の香りのする本堂で、床やイスなど思い思いの場所に座って、リビングの延長のような気分で楽しめる場所はとても貴重だと思う。

ののさま文庫の一角を借りて、イベントを開くこともできるし、大人はそれに参加して、子連れであれば、子どもは目の届くところで本を読んでる、なんて理想的過ぎるじゃないか‼

感覚としては、親戚の家に遊びに行って、子どもはいとこ同士で遊んで、大人はお茶や酒を飲んで盛り上がってるといったところ。

わたしが行ったときは、ありがたいことにわたし一人だったので、たくさん人が来ているときの様子はわからないけれど、こういう場所で親から、またはほかの来館者から教えてもらって、社会を知るというのも、生きていく中では必要なことだと思う。

そういう点でも、こういうオープンでプライベートな場所って貴重だと思う。

偉そうなことをつらつらと書いてるけど、ののさま文庫という場所は、ものすごく居心地のいい、素敵な場所であるということが言いたい。

ののさま文庫の看板に「本は心の栄養」と書いてあるけれど、この場所自体が心の栄養になると思う。

日曜日の7:00~15:00と月曜日の7:00~12:00の限定開放だけど、
本はひとり3冊1か月借りられるし、ゆっくり読みたい人にはありがたい。

日、月限定の朝活、取り入れてみるかな。
とりあえず、また行きたい。

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