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美術展『エキゾティック×モダン アール・デコと異境への眼差し』

1925年、フランス。

パリ万博(現代装飾美術・産業美術国際展覧会)を皮切りに、一大ムーヴメントを起こした『アール・デコ』様式。

 

直前、一世を風靡した、植物などをモチーフとした有機的形態と曲線文様を特色とした『アール・ヌーヴォー』と台頭するように、ヨーロッパ各地に流行した『アール・デコ』。

実はこれ、現代装飾美術・産業美術国際展覧会の原題『Exposition Internationale des Arts Décoratifs et Industriels modernes』から、引用された言葉。

つまり、アール・デコは直訳すると『装飾美術』ということになってしまいます。なんだか漠然としているし、「それって逆じゃない?」とさえ感じてしまいますが。。。
(たぶんパリ万博が通称『アール・デコ博』と略されていたので、このムーヴメントもそう呼ばれたのかな。)

ちなみに、アール・ヌーヴォーは『新しい美術』。ボジョレーヌーヴォーの『ヌーヴォー』です。
(いつか古くなるものに『新しい』とつけるのはどうかと思うけど。新国立〜とかね。ま、それだけで革新的だったということで。)

開催地は、東京・目黒の『東京都庭園美術館』。

元は美術館ではなく、皇族の方の御邸宅(旧朝香宮邸)で、竣工は1933年。

その時代の洋館ということで、内装は瀟洒なアール・デコ様式が取り入れられています。日本で見れるアール・デコの象徴的建物です。

流石、時代の先端を掴んでらっしゃる。

平日の夕方ということで、来場者は少なめ。

展示の品々は撮影できないとのことですが、館内(展示のない部屋)は撮影して良いとのことなので、内装だけ紹介したいと思います。

さて、「アール・デコとはそもそもなんぞや。」てな話ですが、僕もよく知らなかったので、展示を観ながら学んだことを書きますね。

 

まず、フランスという国について。

子供の頃のイメージは、フランス人は白人金髪。

『おフランス』と言う言葉が象徴するように、高貴な貴族の国というイメージでしたが、ご存知の通り多民族国家です。

夏に開催された『サッカーワールドカップ2018』で優勝したフランス代表スタメンを見ても、半数は有色人種(おそらく)アフリカ系。

これは近代まで続いたフランスの植民地政策の影響でしょう。先日、テレビでアフリカ系フランス人のお婆さんが、昔受けた差別や迫害について語っておられました。

今でこそ『フランス=多民族国家』という認識がありますが、僕が子供の頃は、日本ではまだまだ浸透してなかったのでしょうね。

趣きある洋館でございます。。。

気品に満ち溢れております。。。

窓のデザインや階段右側の壁の装飾なんかは、幾何学的でアール・デコらしい。

 

時は、両世界大戦間のフランス。

この頃、非ヨーロッパ圏の文化や美術など様々なトピックスが、欧州のデザイナーやクリエイターに大きな影響を与えました。

その土台は、フランス・イギリスを中心としたヨーロッパ諸国の植民地政策(特にアフリカや東南アジアなど)や、第一次世界大戦(日本も参加)によるものでしょう。

具体的には、ツタンカーメン墓の発見、ロシアバレエの席巻、アメリカ人黒人ダンサージョセフィン・ベイカーの流行、フランス自動車メーカーシトロエンのアフリカ縦断計画とアジア横断計画など、バウハウスの影響などもあったようですね。

またジャポニスムも、新しいモダニズムの触媒として再解釈され、『漆』など東洋的な美として取り入れるアーティストも見られたようです。

そして、1925年。

パリ万博にて一気に花開きました。

 

執務室。

高貴な雰囲気だが、シンプルで直線的な輪郭がお洒落な内装ですね。

アール・デコの特徴は、幾何学的で直線的(平面的)な様式です。

前時代に流行したアール・ヌーヴォーは、有機的で曲線が特徴なので、コペルニクス的転回、とは言い過ぎですが、まぁ、逆っちゃ逆。

アール・ヌーヴォーが細かな細工を施した一点もので富裕層向きだったことに比べ、シンプルで実用性を兼ね備えるアール・デコ様式は、そもそも『大量生産』をデザインに組み込んだものも多く、一般大衆でも比較的手に入れやすく、浸透しやすい様式だったと言える。

 

うーん、直線的ではない。

どっちかっていうと、曲線的で植物っぽいが、平面的で幾何学的だからこれもアール・デコなのかなぁ。

 

おんなじやつ出てきた。

まぁ日本の洋館だから当然なのかもしれないが、東洋的なデザインだなぁと思う。

灯籠みたい。

と、まぁ展示品はお見せできませんでしたが、ぜひお時間がありましたら、アール・デコ展&東京都庭園美術館に足をお運びください。

 

会期は2019年1月14日まで。

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