3 / tricot(2017)
tricot 3rd Album(2017)
前作『A N D』より、2年2ヶ月ぶりのフルアルバム。
1.TOKYO VAMPIRE HOTEL
2.WABI-SABI
3.よそいき
4.DeDeDe
5.スキマ
6.pork side
7.ポークジンジャー
8.エコー
9.18,19
10.南無
11.MUNASAWAGI
12.節約家
13.メロンソーダ
tricot(トリコ)は…
中嶋イッキュウ(Vo./Gt.)
キダ・モティフォ(Gt.)
ヒロミ・ヒロヒロ(Ba.)、
吉田雄介(Dr. )※『3』リリース時は未加入
…女3男1編成、京都発のバンドです。
はい。
先日、紹介した『くるり』『青葉市子』と、完全に地元京都に傾倒しているフシがありますが…
初めて聴いたときは知らんくて、どちらかと言うともっと都会的なイメージ・・・関西ならば大阪とか神戸っぽいなぁと、個人的には思っています。
岸和田とかね。ライブとか楽曲のオラオラ感を鑑みますと。だんじりギャル神輿的なね。怒られるわ。
tricot側、だんじり側、双方から怒られるわ。
出会いはですね、タワレコ新宿での視聴です。
なんか普通やな…
本人としては運命的なのですが。
焼肉行く予定やったけど、集合までけっこう時間があったので、タワレコを散策してたら…
『3』
て書いただけの無骨なCD(表紙写真右側)が、陳列されていて「これはやってくれたな。攻めたな。」と思いながら手にとったのがきっかけ。
『3』て書いてなかったら、見た目はただのCD-Rに等しい。10枚組を開封したやつみたい。
(余談やけど先日水曜日のカンパネラのプリクラ貼ったCDもつい手にとってしまった。攻めたジャケ好きな性分。)
で、視聴してみたら、あれま!
導入からとにかく楽曲が格好いい!
ガールズバンドとも分からなかったので、①の中嶋イッキュウ氏の可憐で力強い歌声にも、目が醒めるようでした。
その頃、仕事が忙しい時期が続いていたからか、聴いていた音楽が『Sigur Rós』とか日本だったら『Spangle Call Lilli Line』などのポストロックや、先日紹介した『青葉市子』など、どちらかというと響きの美しい音楽を好んで聴いていました。
久しく骨太なバンドサウンドから距離があったこともあり、①の導入のドラムから歌い出しで、視界がバッとクリアになるような気持ちよさがありました。
印象派の絵画をずっと見ていたところに、ポップ・アートが飛び込んできたかのように、ビビッドな色彩、輪郭、切れ味、挑戦的な若いエネルギー、全て新鮮で、そのままあれよあれよと特徴的な変拍子に面食らいながら①②③くらい聴いたところで…
「視聴で立ったまま聴いてしまうなんてもったいないな。」
と思い、そのままレジに持っていきました。
たぶん2018年で一番聴いているCDだと思う。
(ちなみに、表紙写真左側は、タワレコ999セット限定生産の『3』。のちにヤフオクで購入。)
ちなみに余談ですが、CD購入後、tricotを検索したら、中嶋氏、キダ先輩、ヒロミ氏、3人ともめっちゃ可愛い人でした。。。スバラシヤ。。。
【藤江なるしのお薦め曲紹介】
1.TOKYO VAMPIRE HOTEL
同名の園子温監督ドラマのテーマソング。
同名なのでドラマの内容ありきの楽曲とは思いますが、いやぁ、格好いい!気持ちがいい!
テンポも速く、2分30秒と短い曲の中にtricotの格好良さを凝縮したような、挨拶がわりの一曲。
特に、中嶋氏の力強いボーカルがこの曲は印象的。
最近は思わなくなったが、最初は中嶋氏の歌声に、学生時代よく聞いていた頃の椎名林檎や矢井田瞳がチラついた。個人的にですが。
吸血鬼から連想されるような、暗闇を切り裂くような鮮明な赤といった雰囲気の曲です。
2.WABI-SABI
音楽的なことは素人のため分かりませんが、導入から、ギターとベースが変則的なリズムで、ベッ!ベッ!って刻むんやけど、それが凄く好きです。
楽曲としては、かなりクセの強い印象。
フレーズがどんどん変わって、僕程度ではリズムがどないなってんのか、もはやまるで分からんが、アクセントになる音を捉えながら、この変拍子を自分なりに楽しんでます。最初聴いたときから好きだけど、聴けば聴くほど面白くて好きになる。
詞の内容はさらに複雑。
まさに、日本の「侘び寂び」が持つ観念的な美意識と実生活とのリンクのような反発のような内容に聴こえるが、掴みどころが難しい。
「誰もが誰かの詩を蔦って涙してる 」など印象的な歌詞が耳に残る。
ポストロックを好んで聴いていたこともあって、歌詞の内容解釈は、僕自身はさして重要ではなくて、どちらかというと、語感、語彙が持つ印象の連なりが重要で、全体的な歌詞の意味に正解を求める人もいるかとは思うんだけど、僕は二の次です。
すごく言い訳じみた記述になってしまいましたね。
音がとても好きなので、ここは一つ、許してシルブプレ。
3.よそいき
※LIVE音声なのでCDとは少し異なります。
導入のベース音から、リズムを打つようなギターが、なんだかお洒落な曲ですね。
ガールズバンド然とした可愛らしさも感じます。
2コーラス目のキダ先輩とヒロミ氏のボーカルも目が離せません。
「握らされたタクシー代の釣り銭でハイチに行かなきゃ〜♪」
と言ってると、こないだまで思ってた。
「…釣り銭でハイチは無理だ。」と思いながらも、なんぼほど釣り銭もらったんかなとモヤモヤしてましたが、真相は「歯医者に行かなきゃ〜♪」でした。歯医者は行ける。
そこも含めてお気に入り!
9.18,19
tricotといえば変拍子が特徴的ですが、②に勝るとも劣らないと思うのがこの⑨です。
はっきり言って「この人ら変態やな」とちょっと思ってしまいました。
それぐらいエッジが効いてて、文字通り音がとてもシャープかつ叙情的。エモいです。
僕が「凄い」と思うのは、先鋭的・前衛的な音楽って他にもたくさんあって、複雑の末、理解不能だけど聴く人が聴けば高い評価を得ているような音楽もあります。
ただ、常に『複雑=非大衆的』でもなくて、やっている事は緻密・難解ながら、良い意味でそこは一般人には伝わらず、最終的にアウトプットされた『格好良さ』だけが伝わるという、微妙なバランスがあると思う。
「この複雑さは必然で、よく分からないけど、こうであるから『格好いい』のだろう」
tricotの楽曲は、僕でもそう思えるバランス感が「凄い」と感じるのです。
偉そうに語りましたが18,19、このアルバムで一番好きな曲です。
12.メロンソーダ
この曲には、歌詞の世界観なのか、なんとなく楽しいひと時が終わってしまうような、寂しさがあります。
なんか、準備してきた学祭が終わってしまうような。刹那的な哀愁というか。
「夢を見ていたような夢だった」という歌詞の通り、12曲の疾走感を完結するのにピッタリな曲だと思う。
個人的にこのアルバム『3』の『蛍の光』的な。
この曲を聴くために12曲を聴いてきた、というのは言い過ぎですが、1コーラスでスパッと終わるので、その後の余韻も楽しんでほしいですね。
以上、いつにも増して長文になりましたが、ご興味ありましたら是非。
ちなみに12/14には単独『人間限定ライブ』に参戦します!
その模様はまたお伝えします、乞うご期待。