映画「チワワちゃん」すごすぎるやろ
※以下ネタバレ注意
「結局こういう女が全部持っていくんだよ」の権化であるチワワちゃん
根っからのぶりっ子で男にも女にも距離が近くて息をするように感情表現ができてスタイルが良くて頭と股がゆるくてついでに料理の上手い女。登場人物の中ではかなりまともに見える主人公のミキはモデルとしてあまりパッとせず、ミキの影響でモデルを始めたチワワちゃんはあっという間にバズって人気モデルになっていくストーリーが「分かる」すぎた。世の中ってこうなってんのよ。規範におさまってる人は突き抜けないのよ。そもそもチワワちゃんってミキが好きだった男の彼女として現れたしね。
しかし、その後チワワちゃんがAVに出たりヤバそうな男たちとつるんでたりするのを考えると、それだけでいいとは思えない。良い環境を自分で選んでいく力は必要だ。チワワちゃんは愛に飢えすぎなんだよな。承認欲求オバケともいえる。そうならざるを得ない環境だったんだとは思うけど、チワワちゃんがいい子だからこの展開はつらい。
これはフィクションだから分かりやすくヤバイ方向に逸れているが、現実では上手くやって文字通り「全部持っていく」人生を送ってるんじゃないでしょうか。知らんけど。
成田凌の画面をエロくする力がすごい
チワワちゃんはディープキスしてても愛撫されててもキュートガールの枠を越えないのに、成田凌演じるヨシダくんがエロすぎる。首の角度変えるだけでもうエロいもん。シャツの胸元開けててクラブで騒がないタイプの男はオシャレなセックスするんですよ。自己陶酔が上手いから。しかも肌が白くて眉が濃くてタレ目で童顔な男は性欲強いんだよ(個人の意見です)。
成田凌の動作のすべてが「そういう男」過ぎてヤバかった。チャペルで指輪渡して結婚式ごっこした後に愛撫し始めるシーンとかそれっぽすぎる。性欲と結婚が地続きだと思ってる男。(大学生の設定なので幼さゆえの認識の甘さだとは思う。)
人間って模範的でない方が面白いのかもしれない
本作にはツッコミどころが満載である。人の金盗むなよ。友達の彼氏とヤるなよ。恋人もいる場で他の人とキスとかするなよ。パワハラ野郎と付き合うなよ。レイプするなよ。友達に金せびるなよ。頼まれた方も貸すなよ。
しかし、ヨシダくんが就活のためにスーツを着ているシーンを見て「学生時代やんちゃしてたぐらいの人の方が就活うまく行くんだよな」という、私が大学生の頃に感じていた諦めが蘇ってきた。代返やピー逃げをしてまで授業をサボって、テスト前に別にそこまで話したこともない真面目な学生にノート借りて、ちゃっかり単位は取っちゃうような学生の方が上手く行くんだよ知ってるんだよ。しかもそういう学生ってなぜか教授に嫌われてないんだよ。なんでだよ。
なんやかんや、彼らも社会に適応していくのだと思う。チワワちゃんの登場人物たちと話してみたいな、と思った。話してて絶対おもしろいだろうな。なんだかんだ、人間には逸脱が必要なのかもしれない。
人死んでてそんなに爽やかにエモく終われるんや
犯罪で得た金で豪遊して、誰彼構わずセックスして、これだけ好き勝手やって人まで死んだのにそんないい感じに終わるんや。この人たちの人生って「オシャレ」を中心に回ってるよな。もちろん映像の撮り方がすごくオシャレというのは大きいんだけど。もしこの中にぽっちゃり体型の人がいたらオシャレには見えないんだろうなと思ったりした。水着や下着のシーンが多すぎる。
誰もチワワちゃんの核までは触れず表面の美味しいところをペロペロしてました、というのがチワワちゃんの死後に発覚して、それでもそんないい感じに終われるんや。このある種の薄情さが若者っぽいなと思った。
私も自身を振り返ってみて、友達に対して「なんでそんなあっさり離れていくん?」と思ったこともあるし、思われたこともきっとあるだろう。自分の青春時代を振り返りたくなる作品だった。私はクラブには行ったことないが、クラブをたまり場にするような若者でも「名字+くん」ぐらいの距離感で呼び合うんや、という新鮮な発見があった。まぁ、今の若者はそうじゃないかもしれないけど。
挿入歌が良すぎた。
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