『針が止まるまで』 カッチ、カッチ、カッチ……。 胸の中の時計の音が、徐々に緩やかになっていく。 ご主人様に仕えて早50年、寿命と言うのはこんなにも穏やかに流れるものだと感じられるのは、この50年が私にとって幸せだったからだろう。 「ご主人様、お茶が入りました」 「ああ、ありがとうね、フレッド」 私はご主人様のベッドの横で膝を曲げ、よく温めたカップに、アールグレイを注ぐ。 ご主人様は私の手から、ソーサ―とカップを受け取ると、コクリと一口だけ口をつけ、傍らの机の上に