【短歌連作21首】口の中はクリスマス一色
帰っておいで寄り道はだめ鍵穴にねじ込めば真っ赤に錆びる舌
貴金属をお皿にのせて、貴金属をコック帽に詰めて、だいじなお話です。
陰口が動物柄に繁るから 食べられたら困るのわかるから
長崎の出島の地図に欠けた歯を転がすといい香りざらめの
月をわざわざ見上げずとも作れたじゃないフェルト製の隠れキリシタン
光る樹の病気があなたにも来るよ寒い季節は全身がもう
好きで好きで好きで赤らんで好きで好きでプラスチックの橇まっぷたつ
妈妈、さかさまのオーナメント、ママは二度漬け禁止のおもちゃ箱
ストローを二本さしたら寄せあって今日からわたしの子どもになあれ
六畳にレジャーシートを敷き広げ待っていません天変地異は
しょこたんの猫撫で声を流したら先取っているみたい後世を
膨らんだ両頬の右は年度末、左は四分咲きの桜、死ね
口蓋を炙って飛ぶのは気球だけでした 残念 つららを舐める
手に手をとって肩に肩のせて多いほど得だとおもう
月経前・過渡期・月経後・月経前・過渡期・月経後・月経前・月経前・月経前・過渡期
隠していてごめんねあなたはほんとうは血のつながらない林檎のハンドクリーム
プレゼント交換の輪に混ざったらどうせ遭難者の霊でしょう?………
大根で殴っちゃあいけないよクリスマスなのにおでんになるよ
線路の:レールの;つめたさで:涙のあと;を冷ます:星は;みえない
かなしみが染みついていればいいなんて不潔なドレスコードいらない
しっぽをかじり続けておなかを壊したからここで終わり。りぼん