生きたい

初めまして。こんばんは。

nakiといいます。

早速ですが、私の話をさせてください。


私は大学に通う、ごく普通の女です。
父、母、年の離れた弟の四人家族、近所に母方の祖母が住んでいます。

アルバイト、サークル、その他もろもろの私生活で忙しいながらも、友人や優しい大人たちに支えられながら、毎日を過ごしています。
彼氏はいません。

毎日寝る場所があって、温かいごはんもあって、
困ったときに頼れる人がいて、
私はきっと俗にいう「幸せ」な日常を送っているのだと思います。

大学では史学科の生徒として在籍しているので、昔におこった戦争や震災、遠い国の貧困などについて学ぶことが多々ありますが、
そんな時代や国の人からすると、なおさら私なんて幸せな人間です。

小さいころから虐待を受けてきたわけでもない、
家がとてつもなく貧しいわけでもない、
癌とかで余命宣告をされているわけでもない、

恵まれた環境、穏やかな日々

とても、とても、幸せな人生を送っています。
幸せです。ここに生まれてよかった。


分かってます。わかっているんです。
私も何が不満なのか分からないのですが、

最近、なんだかうまく歩けないのです。


歩けないというより、足がとてつもなく重いのです。
「あれ?前まではもっと早く歩けていたのに」と思い、意識を前に向けてみるも、
おかしいんです。前を向くこともうまくできない。

それだけじゃありません、力も入らないんです。
起き上がる力、坂道をのぼる力、目に見えないいろいろな力も全てダメになってるようなんです。

「がんばれ、がんばれ」そう言って、自分を応援してみるのですが、
応援すればするほど、足がすくんで、
最後には立ってられなくなっちゃうんです。

「なんで?なんで?」「どうしちゃったの?」
自分の体に問いかけても何もわからなくて、
得体のしれない痛みが私を捕まえて放してくれないから、もう何が何だか分からなくなって。

こういう時は人に頼ればいいよなんて、噂で聞いたから
身近な人に話してみようとすると、
自分でも分からないことだらけだから、説明の仕方も分からなくて、
なんなら話す手前になって「あれ、私が悩んでた痛みってこんなもんだっけ?」って。
あんなに辛くてしんどくて立てないほどの傷みだったのに、大したことないように感じるんです。
だから、なんだ今までのは気のせいだ!と思いきや、
次の日になると、あれ?って。また元に戻ってるんです。


小さいころから「逃げるな」と母から教わって育ちました。
精神的にも、体力的にも強い母が、大好きな反面、少しばかりの恐怖を覚えながら生きてきました。
頼もしく、大黒柱の父を差し置いて家族の中心にいる。
いうまでもなく、怒らせるとこの世で一番怖かった。今もですが。

そんな母から厳しく育てられたため、昔から精神力には自信がありました。
小学校の高学年になると、母の「逃げるな」教育の元、保健室に行くことをやめました。
家に帰って「今日体調が少し悪くて保健室に行った」なんて話すとなんて言われるか分からなかったから。
「そんなことで保健室行って、早退して、仕事中のお母さん呼ばないでね。微熱くらいだったら一人で帰ってきなさい」
仕事第一の母はそういうにきまってました。
当時の私には仕事がどれだけ大事かわかってなかったから、ただお母さんを怒らせないように、機嫌をうかがいながら生活していました。

中学になると体育会系の部活動に入った私は、「逃げるな」に洗脳されていきます。
早退、遅刻、保健室で休むことを心から軽蔑していました。
部活中に転んでけがをして、手当のために少し抜けるだけで「逃げた」と自分を責めました。
2年生の終わりになって、キャプテンになった私は「しんどくても頑張れ」「みんなしんどいのは一緒」という考えを信じて疑っていませんでした。


正解です。

しんどくても頑張らなくちゃいけません。
しんどいのはみんな一緒です。みんな抱えているものがあります。
あんな涼しそうな顔をしている人も本当はつらいのかも。
いつも笑顔のあの人も本当は何かに悩まされているかも。
だから私もここでくじけちゃいけない。
しんどいのも、何かから逃げたくなるのも、生きているから。
負けずにしっかりと前を向いて進まなきゃ。

がんばれ、がんばれ、止まるな。


でもあるとき気づいてしまったんです。

本当はもう逃げ出したい。


逃げてどうにかなることはないと思います。
自分が空けてしまった穴を誰かが塞がなくちゃいけない。
それに逃げたことで自分の成長にもつながらないし、また同じ場面で立ち止まった時大変なんだろうなと思います。

分かってます。私の周りの大人たちが言うこと全部。
小学生の私に言っても理解します。


でも、分かっているのに、
どうして私の足は動かないんでしょうか。
どうして体に力が入らないんでしょうか。
どうして起き上がれないし、眠れないんでしょうか。

どうして、こんなにも
生きることが辛いんでしょうか。


「逃げていてはダメ」「自分で何とかする」
そんなことは肝に銘じて、これでもかというくらい心に刻み込みました。

それでもそんな言葉とは裏腹に動かない体と
自分を追い詰めたときの心の激痛
その辛さも

分かってくれる人なんているんでしょうか。


1人は嫌です。
孤独な夜ほど怖いものはありません。
だけど、こうして私が社会から離脱し休憩している間に
私の周りのみんなはどこか遠くに行ってしまうような気がします。

私を嫌いになったとか、私といることが疲れるとか
それなら静かに離れていけばいいと思います。
少し寂しいし胸が痛みますが、仕方ないと割り切ってみます。
だけど、例えば昨日学校を休んだから次の日の授業内容についていけないように
なんだか置いてけぼりにされている気がして、
がんばって追いつこうとするんですが、病み上がりみたいにブランクがあるからうまく取り戻せなくて

「これどうやるの?」「これ教えてくれない?」と聞けるのは最初の2日程度で
3日目からはなんだか聞くのも申し訳なくなってきて
面倒だとか大体なんであの日休んだのかとか思われているような気がして
やっぱり聞けなくなっちゃって。
1人で頑張らなくちゃって。


頼らなくてもひとりで、頼ってもひとりで
どうしたらみんなの輪から外れないか必死で
私何がしたいんだろうって思っては、1人になりたくないって気持ちが膨らんで
誰に何を頼ればいいのか分からなくなる。



そんな毎日を私は今送っています。

夜に狭く蒸し暑い部屋に閉じこもってはぐるぐる考えています。

たまらなくなって泣いてしまう日もあるけど

人に頼って余計な心配も迷惑をかけるよりかはいい。

どうしようもなくなったら、そのときは……



私と同じように、今悩んでいる人は

色んな事を考えながら生きているんだと思います。

考えすぎなんじゃないかというくらい、考えて考えて生きてるんだと思います。

自分を大事にしなさいとか、あまり自分を追い詰めないでとか言うけど

多少自分を乱暴に扱ったって、多少自分を追い詰めったって

そうでもしないと生きていけなくなるから。


でも、言ってほしい言葉ならある。

疲れ切った体と心に、響く言葉。

もう生きるのやめたい、消えたい、死んでしまいたい

そんな時、私が欲しかった言葉は

「生きたいって言いなよ」



こんな世界だけど、生きたい。

辛くて苦しくて水の中にいるようだけど、生きたい。

今は分からないけどいつか、生きててよかったって

生きる意味を見出せるなら、生きてみたい。


だから、「生きてていいんだよ」って

その言葉だけで少しだけ。少しだけ前を向ける気がする。


明日も生きられますように。

明日の夜もこうして静かに迎えられますように。



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