武術伝書の読み方
武術を学ぶにあたって、伝書を読むことは必要だ。
ただ、その伝書が「どのような経験・身体観によって書かれたのか」を踏まえることなく、ただ字面だけ鵜呑みにするのは、伝統武術を学ぶ上ではむしろ害である。
皆様は「漢字の書き順」に注意しているだろうか。
漢字は、書き順通り書かないと、形だけ似ている別物になる。
対象事物の投影である漢字と、音を表すのみで対象事物との関係性は「当てはめ」にすぎないアルファベットでは、根本的に違うのである。
現代人はもうこの感覚が失われている。
漢字もただの「当てはめ」になっている。
(まあ、かく言う私もこれをフリック入力で書いてるわけだが😅)
しかし、漢字を書く経験が失われるのはよくないと考え、メモでもなんでも、手書きの文字を書く機会は逃さないように心がけている。
その際、書き順が怪しい漢字は、必ず書き順を調べている。
(まあ、それもネットで調べているんだが😅)
伝書を書いた先人と現代人とでは、「文字」に対する感覚が相当ズレているぞと自覚している私ですら、そのズレを埋めるのは簡単ではないと感じている。
少なくとも武術の伝書を読む場合は、必ず稽古とセットにしなければならない。
身体経験と対応させて、この一文が何を言っているかを探っていく。
現代人が伝書に書いていることを鵜呑みにしてただ引用した場合、まずほとんどの場合「観念化」する。
身体と関係ないところに行ってしまう。
漢字文化は、身体性と一体不可分なのだ。
それ故、書き順が重要になる。
伝書を読む際の参考にしていただければ幸いである。