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「第六の指」で「握る」行為の質が変わる
不肖非才の武術家たる私としては、ひたすら学び続け、一歩ずつ前進することしかできないが、その中で、自分自身で発見した要訣もある。
・第六の指
・ダメ社長理論
・遊園地コーヒーカップ理論
などがあるが、今回は、最近思ったよりも重要だと感じている「第六の指」を解説する。
「第六の指」とは、両の手首の小指側にある固い突起のような骨「豆状骨」を指す。
これは文字通り「第六の指」だ。
おそらく進化の過程で、元々は指だったものが単なる突起に退化したと思われる。
最初に陸上進出した脊椎動物であるイクチオステガは、後肢の指が7本であった。
この「第六の指」をきちんと捉えているかどうかで、「握る」という行為の質が大きく変化する。
例えばブラジリアン柔術において袖を握る際、袖口に指を入れるのが反則となるため、以下の「ポケットグリップ」「ピストルグリップ」のいずれかとなるが、
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これらのグリップの際に「第六の指」を使うことで、グリップ力が大幅に向上する。
「使う」と言っても、豆状骨を直接袖口に接触させるわけではない。
豆状骨から「見えない指」が生えていると捉え、きちんとそこを感覚して握る。
この「第六の指グリップ」により、今まで私はブラジリアン柔術のスパーでグリップを切られたことがない。
(もちろんこれは、単純に引っ張っただけでは切れないということだ。もっと高度なテクニックを使われれば、切れることもあり得る)
このような「第六の指グリップ」は、剣術でも重要になってくる。
甲野善紀先生も最近改めて「いかにして剣を『握らない』か」を強調しているが、
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「握らずに剣を持つ」ためには、やはり「第六の指」をきちんと感覚することが重要になってくる。
第六の指をきちんと使っていれば、それ以外の指はごくフワッと添えておけば十分であることがわかる。
最近では、物理的な「第六の指」を人工的に開発する試みもなされている。
この記事には、
こうした新しい身体部位を身体化したときに脳でどのような変化がおきているのかを調べることが重要です。(中略)これらは、本研究で開発したような人工身体を使うことでしか解決できない問いであり、多くの重要な知見が生み出される可能性を秘めています
とあるが、私に言わせれば、人工身体に頼らなくても「第六の指」を使うことは可能なのである😊
(もちろん、生来の「第六の指」ではピアノを弾くことはできないので、こうした研究の意義を否定するわけではない)
こうした「見えない身体」「かつて存在したが今は存在しない身体」もまた、私たちの身体に影響を及ぼしている。
このような「目に見えないもの」「物理的な理屈では説明がつかないもの」に取り組むことによって、はじめて「武術の扉」は開かれるのである。