ブラジリアン柔術は「個別分断・各個撃破」の体系
お盆期間中はアクティブな稽古は控えめにし、これまでの稽古の振り返りや今後の計画策定に充てている。
その一環として、これまでのブラジリアン柔術研究の途中経過を書いておく。
なぜブラジリアン柔術は強いか。
それは、「敵を個別分断し、各個撃破する」体系ゆえに強いのである。
日本や中国の伝統武術は、「身体をまとめる」ことを第一に置く。
站椿がその代表であろう。
例えば、同じ1㎥で同じ重さの石であっても、一枚岩を切り出した石とブロックを積み上げた石が衝突したら、どちらが勝つか結果は明らかである。
そのため、伝統武術はまず自分の身体を「一枚岩」にする稽古を基とする。
対して柔術は、「小能く大を制す」を実現するため、相手の身体の分断を試みる。
象徴的なのがクローズドガードだ。
これで、上半身と下半身を分断してしまう。
柔術家にクローズドガードを取られたら、解除する術を知らないとかなり厄介なことになる。
また古流柔術であれば、指を取りにくる。
ブラジリアン柔術では反則だが、護身術としては非常に有効である。
たとえ巨漢といえども、指一本を分離してしまえば、女性や子どもでも制することができる故である。
柔術に限らず打撃を含む立ち技であっても、相手の身体の個別分断・各個撃破戦術は有効だ。
ブラジリアン柔術の体系の中でも「上になるか下になるか」が裏表の関係になるが、結局どちらであっても、「いかにして自分の身体を分断されずに相手の身体を分断するか」を試みているという意味では、同じ方向性を持っている。
もし伝統武術家が柔術家を相手にする場合、相手が「個別分断・各個撃破戦術」で来るということを念頭に置く必要がある。
つまり、こちらの身体を分断されないように戦う必要があるわけだ。
ブラジリアン柔術自体を研究するのもひとつの方法だが、伝統武術の基本的な稽古をさらに徹底し、生半可なことでは分断されない「一枚岩」の身体を練り上げることは、本質的な重要性を持つ。
これは、表層的な肉体のトレーニングでは達成できない。
伝統武術の価値はここにある。
いかなる体系であれ、「基本の深化」こそが最も重要だ。
ブラジリアン柔術も同様であるので、私としては伝統武術の深化に取り組むとともに、引き続きブラジリアン柔術の稽古に励む所存だ。