競争から共創的ディスカッションへ
■はじめに
みなさんは会議をどのように進められていますでしょうか?
意見が対立した時どうしていますか?
私たち(大学ゼミ生)は、”共創的ディスカッション”という手法を使って
全員の合意をもとに意思決定することを目指しました。
扱うテーマは「核」。対立しがちなこのテーマで頑張りました。
このテーマは、新聞社によって主張する点が異なります。ですので、一社だけの主張を見ていると、ついつい核について断片的な議論をしてしまいます。
ですので、情報に触れた際に情報に踊らされないよう「座標軸」を作りました。
座標軸があることで、この主張は「〇〇だな」「〇〇傾向だ」と主体的に情報処理をすることができるのです。
長くなりましたが、本ブログでは、
「全員が合意する共創的ディスカッションの手法」
「情報の本質を掴むための座標軸作り」
についてご紹介できればと思います。
■ワークの概要(計5日間)
Day①2021/8/6の新聞を精読する。
Day②感想共有(よかった点、好きではない点)
Day③共創的ディスカッション
Day④⑤座標軸作り(x軸y軸)
■各新聞社の精読(Day1)
今回は、産経、日本経済、朝日、読売、中国、毎日の6社の社説を精読しました。
そして取り出すテーマは8/6ということで「核」について。
同じ核というテーマでも、核禁止条約や核抑止論など、新聞社によって主張したい点が異なります。
■感想共有(Day2)
精読してみて、よかった記事、好きではない記事の共有をしました。
「核について、国民ができる解決方法を述べられているのが良い」
「主張が明確なのがいい」
「国家の話ばかりして、被爆地広島の内容が書かれていないから好きじゃない」
など、多様な意見が出ました。
そして、その中から自分の考えを意見が合う新聞紙を1,2社ピックアップし発表しました。
■共創的ディスカッションへ(Day3)
いよいよ意見の統合です。核問題で、大切にしたいことのキーワードを出し合い、座標軸を作ります。
ディスカッションの際、以下のポイントを明確し、進行していきました。
これを意識することが中々難しい。
主張が異なると、ついつい人は自分の意見を伝えることばかりに目がいきます。
こんな感じで
そして人の話を聞き入れまい、としてしまう。
僕もうっかりそんな態度になっていたかもしれません😭
ですので、相手の発言の際にはきちんとメモをする。相手は「何を言おうとしているのか?」など、話の真髄を記していきます。
きっと、「メモしなくとも頭に意見が残る」という人でも、メモは大事なんだと思います。相手の意見を書くことで、自分は話を聴く姿勢を自己浸透させることができ、また相手にもそれを伝えることができます。
共有が終われば、全員の共有で出た意見の中から、「核問題で、何を基準(価値)にして新聞を読んでいくのか」を決定します。
新聞はメディアです。メディアに踊らされないためには、自分なりの軸を持って読むことが必要です。そうすることで、この主張は「〇〇だな」「〇〇傾向だ」と主体的に情報処理できるのです。
我々の価値序列は以下のようになりました。
1位:核問題対象者の取り扱うスケール【国家or国民or広島】
2位:平和へのプロセスを明記【読者が考えさせられる⇆社の主張】
3位:核の条約【核禁止条約⇆核軍縮】
結果、上位2つが核問題で、我々が大切にしたい価値となりました。
ここまでくるのに非常に時間がかかりました。
新聞社が取り上げている事実を見て、
「本当に読者に伝えたいことは何か?」
「誰に伝えているのか?」
「どの立場から主張しているのか?」
などを読み取ります。核問題は多義性を含みます。なぜなら、被爆地、日本全体、国家、諸外国からの視点はそれぞれ異なるからです。視点が異なれば「伝える内容」も異なります。
この価値判断はコミュニケーションと同じ性質を持ちます。
相手がいったことをそのまま言葉尻を受け取るのではなく、「なぜそう言うのだろう?」「何を本当は伝えたいのだろう?」「相手の世界では何が見えているのだろう」と
考えることで、相手の話の本質を理解できるのだと思います。
この共創的ディスカッションの面白いところは、誰かの間違いが発見されれば、全員の特になることがあることです。
なぜなら、誰かが誰かの間違いを指摘し、勝つことは一切考えられていない。
全員が納得の行く解を求めています。
間違いを見つければ、「見つかってよかった!別の路線で行こう!」となるのです。
■座標軸づくり(Day4&5)
いよいよ最終段階の「座標軸づくり」です。
と、その前にみなさんも一度、記事を読んでみてください。
そうすると、本ブログの見方も変わるかもしれません。
読まれましたか?さて進めていきます。
我々は上位2つの価値序列をもとに、各6社を座標軸に当てはめてみました。
今回は中国新聞、日経新聞を例にしてみます。
中国新聞は被爆地広島で発刊されている新聞です。ですので、核問題について当事者意識が強い。ですので、「広島、長崎県民からの訴え」「戦後からの平和は核抑止論ではなく、人々が核に対する人類の記憶によるもの」と言う主張がなされていました。
つまり、中国新聞は核問題を被爆地というスケールから取り上げていました。
一方、朝日新聞では、被爆地としての思いがほとんど描かれていませんでした。
核禁止条約、米中対話に関することがピックアップされていました。
つまり、朝日新聞は国家としてての対応というスケールが取り上げられていました。
図にするとこんな感じ。
朝日新聞のスケール
中国新聞のスケール
X軸を取り扱うスケールにすることで、
各新聞社が核問題について、「何を問題としているのか」がわかります。
続いて、
中国新聞は平和へのプロセスについて、「抑止論は神話だ!」「原爆の惨禍を知る広島ゆえに、全人類のために果たす義務がある」
など、想いの部分が綴られています。ただ、そのために具体的に何をすればよいか、は書かれていません。
我々はそのような記事の書き方から、「中国新聞は読者に平和へのプロセスを考えてほしい」というメッセージを感じました。平和へのプロセスは色々ある。そんな中、読者がこの被爆地からの想いを受け取り、何をすればいいかを考える。
そのようなメッセージを中国新聞から感じました。
一方で、朝日新聞では、平和へのプロセスが明瞭に書かれていました。
「核禁止条約に関与せよ」「国際社会の連帯のためにオブザーバー参加せよ」など、国家として日本が取り組むことが明確でした。
ですので、読者に考える中国新聞が3、社の主張が強い朝日が1という結果になりました。
なお、ポイントが高い低いは優劣ではありません。あくまで、各新聞社がどの位置にいるかを確かめるためのものです。
でもこれがあるだけで、新聞の情報を自分の軸に則して読むことができるんです。
■ まとめ
長くなりましたが、まとめです。
チームで会議をする時のポイント!【共創的ディスカッション】
情報に触れる際のポイント!
僕たちもまだまだですが、共創的ディスカッションを活用することで、
お互いを尊重できるような合意形成を目指していきたいものです。
■参考文献
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