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【第14回】相性の悪い相手には「陰ぼめ」と「隠しぼめ」を
以前働いていた職場での話ですが、どうしても気が合わない同僚(以下Cさん)がいました。
会議の席で意見が対立すると、こちらが譲歩しても一歩も譲らないため、しばし険悪な雰囲気になることもありました。
しかし、Cさんと協力しないと進まない仕事も多々あり「何か良い方法はないものか」と考えていました。
そんな時に試みたのが「ほめる」ことです。でも、面と向かってほめるのは気が引けるので、上司に伝えてみました。
具体的には、Cさんが一人でコツコツと努力して進めていた「プロジェクトの仕事ぶり」をほめてみたのです。
すると、その「ほめ言葉」が上司経由で伝わったのでしょう。後日、廊下ですれ違った際に見せたCさんの満面の笑みを、私は今も忘れることができません。
心理学者の渋谷昌三氏は著書『人の2倍ほめる本』で「人伝いに伝わるほめ言葉は、直接ほめるより真実味を持って伝わる」と述べ、「陰ぼめ」と呼んでいます。
では、具体的にほめるところが見当たらない相手(特に上司)に対してはどうでしょう。
この場合、適切なほめ言葉が浮かばないので、残念ながら「陰ぼめ」は使えません。そこで渋谷氏は「隠しぼめ」という、もうひとつの手法を提案します。
隠しぼめとは、「明確な結論は言わないで曖昧に表現したほうが、より相手の心を惹きつける」という人間の潜在的な心理を突いたほめ方です。
如何に相性の悪い上司と言えども、「どことなくいい」とか「何となく素敵」という観点から捉えると、「曖昧にほめてもいいところがある」はずです。
そこで、気心知れた同僚と食事でもした際に、さりげなく上司の「隠しぼめ」をしてみてはいかがでしょう。
同僚経由なので、本当に効果が表れるかは未知数です。また「時間がかなりかかる」ことも容易に想像できます。
従って、過度な期待はできません。でも、何もせずに日々悶々と過ごすよりは、はるかにましでしょう。
一般論ではありますが、実に多くの会社員が「この反対」をやっています。仲間と飲んだ時などは、勢い「上司の悪口」に花を咲かせてしまいます(私もその一人でした……)。
考えようによってはストレス発散にもなるので一概に否定はできませんが、たまには戦略的な「ほめ対策」を講じてみてもいいのではないでしょうか。
次回につづく(毎週火曜日に投稿予定)
(本文は、弊著『なぜ職場では理不尽なことが起こるのか?』<幻冬舎ルネッサンス新書>より一部抜粋編集し、シリーズ化したものです)
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