美味しいお肉へのこだわり
仲しい茸園のバーベキューの食材で、しい茸の次に存在感あるのはやっぱりお肉ですよね。中でも牛肉はやっぱり重要です。今回はいつもお肉を卸していただいている「三浦牧場」さんを訪ねて、お肉の美味しさの秘密を教えていただきました!
三浦牧場さんは、猪名川町と能勢町のちょうど境に位置する山間にあり、50年ほど約80頭の黒毛和牛を生産されています。通常外部の人を受けれていないそうですが、今回は特別に取材を許してくださいました。
場所は、私たちがしい茸の原木を調達している猪名川町の阿古谷(あこたに)地区をさらに奥に進んだ大阪府の能勢町の山間。自然が豊かで、生きている里山が残るとても気持ちのよい場所。そんなところに三浦牧場さんはありました。
「いらっしゃい」
出迎えて下さったのは、笑顔のステキな三浦社長。僕が挨拶をすると、「まあまあ、見ていってください」と早速牛舎へと案内してくださいました。中には、ちょうど食事中の牛がならんで顔を出していました。
「触っても大丈夫ですか」と聞くと
「うん。大丈夫。牛は噛みも、突きもせんさかいに。ただちょっと舐めてくるだけで(笑)」
触ろうとするとミルクをあげるころから世話をしているので、もらえると思って牛農法から寄ってきてくれました。初対面なのに牛たちはとてもリラックスしているように見えました。
美味しいお肉は健康な牛から
「いつも美味しいお肉をありがとうございます!お客さんからも、「しい茸も美味しいけど、お肉も美味しいなぁ」と喜んでもらっているんです」
とお礼をお伝えすると
「うちのは甘くてお肉の味がするやろ(笑)。最近のスーパーでは、見栄えがええのんで、歩留まりのええやつばっかり扱うからね。だから、お客さんにしてみると、見栄えが良くても味がばらつくから苦情がくるからね。本当は見た目よりもお肉の味が大事なんやけど」
確かにサシが入って見栄えがいいけど、味がしないお肉ってあって、ガッカリ感ありますよね。でも、何であんなに味がしないんでしょうか?三浦さんに伺ってみました。
「そりゃもう、飼料と環境と。まあまあ、血統もあるけど。まあまあ、飼料が主やけどね 9割飼料と環境やわ。その差」
三浦さん曰く、飼料と環境と血統がお肉の味に大きく影響するんだそう。意外だったのは、血統よりも飼料と環境の方が味に影響すること。牛の成長の段階に合わせて必要な餌をしっかりあげることで、健康に育って味の良い美味しい牛に育つんだそう。
「牛は胃が四つあるさかいね。小さい時は胃袋を大きしたらなあかんから、乾燥の良質なやわらかい牧草を3か月くらいあげてね。十分に胃が大きくなったら配合飼料をあげるんよ。」
特別に飼料を配合する部屋を案内してくれました。飼料は、独自の配合割合の配合飼料に加えて、微量にミネラル分などを加えることが味の決め手になるんだそうでブレンドは企業秘密。
「あと、こういうのを混ぜると味が美味しなるんよ。海藻やねんけどな、わかめみたいな匂いがするやろ。これはアイルランドから仕入れているんよ。これが隠し味になるんやろうな 独特の甘みがでるんよ。」
そう言って、味の秘密のミネラル分を見せて下さいました。その他にも、微量ながらも土壌改良剤なども配合しているとのことでした。こうした飼料の独自の配合割合により、牛の健康状態が良くなり、病気もせずに大きく成長する。それが味の決め手なるのだそう。お肉にいわゆる「サシ」だけを入れようとすれば、コーンや大豆といった穀物を多くすることでできるそうだが、見た目は良くても味がしないんだそう。美味しいお肉は健康な牛だからこそ、お肉本来の味が引き立つのだとおっしゃっていました。
「あともう一つ重要なのは環境。牛舎は下を濡らしたらね、どうしても乾かしとかんとあかんのよ。やっぱり汚れたらずっと立っとるからね。冬でも寒くっても乾かしたらええんや。濡れとると寒いのにずっと立っとるから。だから、土が乾いて出来るだけ汚さんようにしとるんよ。」
続いて牛舎の中を案内していただきましたが、確かに全然臭わない。想像していたような牛糞の臭いは少なく、湿気でじめじめしている感じもしない。
「下にひいているのはヒノキのおが屑。能勢の森林組合でヒノキをやっとるから、仕入れているけど脱臭効果が牛にもええみたいよ。」
そう言われて見てみると、ほのかにヒノキの香りがして、牛の足元の土は乾燥している。牛も当たり前のように、寛いで床に寝そべっていました。牛は地面が濡れているとずっと立っていて、疲労がたまって健康を損ねてしまうんだそう。なるほど、こうした日々の愛情がストレスの少ない健康な牛を育んでいるんですね。
「うちのは健康やし、飼料にもこだわっているから味では絶対神戸牛、松坂牛にも絶対負けへんで(笑)」
時代とともに子牛は石垣島から
そう言えば、何時から始められたんですか
「50年くらい前からやっていたからかな。親は昔はここで(牛乳を)しぼっておったんやけどな。戦後は酪農が流行ってな」
三浦さんのお父さんの時代では、この地は一時は大阪への生乳の供給エリアとしての役割を果たしていた事もあったんだそう。しかし時代の変化で、徐々に牛乳のニーズが減り、農業のパートナーとしての牛の役目も無くなり、酪農家は廃業するか肉牛を始めていったんだという事でした。牛の種類について質問してみると
「このあたりではみんな但馬牛(たじまうし)を生産しとったんよ。昔は血統書があったさかい、それで但馬牛として売れたんやけんどね。でも法律が変わってしまって、(牛が)一番長いことおったところが産地になるように変わったんよ。せやからここで育てると「大阪産」になりまんねん(苦笑)そうするといくら但馬牛の血統書あっても但馬牛としては売れへんから。アサリと一緒(苦笑)。」
血統書があっても但馬牛ブランドが使えなくなったことや、田舎で育てるからよそからの血が入らず血が濃くなってしまった結果、徐々に体が大きくならならず健康に育ちづらくなっていったことも重なり、牛の種類を転換することを決心した、と教えてくださいました。(現在のブランド牛は血統は関係ないんですね。。それも驚きましたが)
「それから、沖縄の牛を扱うようになったんやわ。沖縄の牛はやっぱり健康やし、1年中草があるさかい、やっぱり大きくなるし、病気が少ないから」
やはり、健康な牛が一番ということなんだと感じました。
その為、三浦牧場では沖縄から運んで来る時以外抗生物質などの薬は基本使うことなく、牧草と配合飼料のみで生育している。健康な結果、おいしいお肉ができるんですね!
今回伺うまで、牛の味は血統=ブランドでほとんど決まると思っていましたが、ブランド=産地という事を知り、牛の味は牛をどれだけ大切に健康に育てたかその餌と環境によってほどんど決まるのだと勉強になりました。
なるほど。だから、三浦さんのお肉は美味しいんですね。牛の元気でリラックスした姿を見て納得しました。
「また、いつでも来てください」
三浦さんは、そう言って優しい笑顔で見送ってくださいました。
お忙しいのにお時間をいただき、現場のこだわりを教えていただきありがとうございました!
三浦牧場さんの直販サイトはこちら!
興味を持っていただけたら、ぜひのぞいてくださいね。