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原木って使い終わったらどうなるの?

原木しい茸栽培で使用する原木についてよく『原木って使いおわったらどうしているんですか?』と聞かれることがあります。今回は仲しい茸園の原木を使い終わったらどうしているのかについて、書いてみたいと思います。

通常、原木しい茸栽培に使われる原木はクヌギやコナラといった『どんぐり』のなる木が適しているといわれています。通常しい茸は冬~春までの間に原木の種菌を植え付け、ゆっくりと菌が回るまで管理をし、植え付けた翌年の秋にようやくしい茸が発生します。しい茸が発生してからは、休ませながら1シーズン2回の収穫が行われ5年ほどしい茸の発生が継続します。菌が回った原木のことを『ホダ(榾)木』と呼び、最後は原木の栄養を使い果たし、収穫量が極端に落ちてくるためしい茸栽培には適さなくなります。この状態を『廃ホダ木』と呼びます。

廃ホダ木はどうなるの?

しい茸栽培には向かない、この『廃ホダ木』どうなるのというと、実は仲しい茸園では2つの方法で再利用しているんです。1つは、『冬場のハウスを温める燃料としての薪』として、2つ目は『クワガタやカブトムシのマット』として再利用しています。

①冬場のハウスを温める燃料としての薪としての活用

仲しい茸園では、ハウスを利用し通年しい茸の生産販売をしており、冬場の寒い時期にはボイラーで沸かしたお湯でハウスを温めています。このボイラーの燃料にしい茸の『廃ホダ木』が使われています。
しい茸が栄養を吸い尽くして、カスカスになった『廃ホダ木』は木の中身空洞が多く手でもって握りつぶせるほどです。逆に言うと空気をたくさん含みよく燃えるため、薪として重宝されます。
里山の恵みである原木からしい茸を生産し、最後は燃料にまで利用し尽します。これぞ日本の先代からの知恵であり、身近なところから始められるSDGsですよね!

スカスカになり手でもつぶせるほどになった廃ホダ木

②クワガタやカブトムシのマットとして再利用

もう一つの再利用の方法が、クワガタやカブトムシの育成用のマットとして活用することです。
一般に売られているクワガタのマットには、発酵マットといって幼虫を育成するために菌類(キノコの菌糸)を混ぜてあるそうです。 キノコなどの菌類はオガクズを分解し幼虫にとって必要な栄養素を作り出すからです。クワガタマット業者にとって菌糸がしっかりと回った『廃ホダ木』は発酵マットを作るのに必要な原料となるのです。
仲しい茸園では、兵庫県内のクワガタ生育業者と連携し、里山から原木を調達し、数年後にはしい茸菌が回った『廃ホダ木』としてクワガタ生育業者に返しています。小さいですがこうした循環も大切にしていきたいと思っています。里山の維持や、子供たちの好きなクワガタと一緒に住んでいけるような社会を作れるといいですね。

『廃ホダ木』を山から回収し、クワガタのマット屋さんに出荷準備

以上、今回は使い終わった原木『廃ホダ木』の使い道について書いてみましたが、原木は最後の最後まで使い尽くしているんです。日本はもともと資源が豊かではない島国だったからこそ、資源を大切に最後まで感謝して使い切る。そうした先代から伝わる工夫があるんですね。それこそが、持続可能な社会へのヒントだったりするのかもしれないと思いました。


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