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在日外国人のキャリアを考えるー日本政府に隠された在日外国人の実態#1

 こんにちは!法政大学キャリアデザイン学部1年の中野です。今回から全3回かけて「在日外国人の実態」をテーマに私のおこなった研究・調査に関してお話しします。高校での卒業論文レベルですので、優しい目でご評価ください。

概要

 近年、コンビニエンスストアで品出しをしたり、レジ打ちをしている外国人をよく見るようになっています。他にも、埼玉県川口市には中国人と日本人の比率がおよそ1:1の芝園団地があるなど、日本に住み、仕事をする在日外国人は増加している現状在ります。グローバル化の動きの中で、外国人を受け入れている日本は一見、良いことをしているように見えるでしょう。しかし、このような動きの中で様々な問題が発生しています。

 前述の川口市の芝園団地では、中国人住民の使用する「香辛料の匂いがキツイ。」という日本人住民からの訴えにより、対立することもありました。他にも働く上での問題や暮らす上での問題など様々なライフステージでの課題があります。

 現代社会には、日本や世界を巻き込む大きな問題を抱えています。外国人労働者受け入れにはそもそもどのような問題があるのか、我々にどのような弊害があるのか、問題解決のためにできる支援はないのか。前述のように議論の末、解決できるのに越したことはないが、そんな簡単なものではないことは明白であります。それらの問題の背景には、外国人を取り巻く宗教・文化・伝統など様々な要因がある為でしょう。では、それらにどのように向き合うべきなのだろうか。

 本研究は、「生きる」という観点から、「働く・暮らす・学ぶ」の3つの軸を用い、どのような問題が生じていて、実際にどのように支援を行っていくべきであるのかなどといったことを研究しました。また、それらを総計した、私の考える新たな支援策を最後に提示します。

働く上での諸問題

Ⅰ.外国人労働者受け入れの背景と現状

 第1回となる今回は、「働く」を糸口に在日外国人の実態に迫っていきたいと思います。超高齢化の進む日本では、少子化に伴い労働人口の減少、労働者不足が顕著になっています。このまま進行すると日本経済への影響が大きくなり、供給量の急減やそれに伴う物価の上昇、消費の低迷など更なる不景気を招きかねないと考えられています。そのため、日本政府は外国人労働者受け入れ施策を次々に打ち出して来ています。

 1989年の出入国管理及び難民認定法の改正を機に、日本も外国人労働者受け入れ国となりました。当時の受け入れ状況は、専門能力・専門技術をもつ外国人の受け入れを積極的に行うといったもので、日本の企業に就職するためにやってくる、いわゆる「単純労働者」の受け入れは行わなっていませんでした。しかし、入管法の脇をくぐりぬけ、国際貢献の名のもと、外国人技能実習生として現場研修を行うようになり、「単純労働者は不可」としていた入管法の穴から、専門的でない職種で外国人労働者を受け入れるように変化してきました。その後、「発展途上国の発展の担い手を育成する」というコンセプトのもと、外国人技能実習制度を作成。それらの結果、外国人労働者は年々増加している。

 厚生労働省の発表によると、「2018年10月末時点の外国人労働者数は146万463人で、企業の届け出が義務化された2007年以降で過去最高を記録」。2008年に比べ約3倍に増加した外国人労働者は2019年4月施行の「改正出入国管理法」により増加していると考えられています。それに伴い、外国人が日本にやってくることで様々な問題が生じることが危惧されます。信教の違いや言語の壁、多くの問題に我々は直面。かつての日本は、外国人雇用に伴う日本人雇用の縮小や治安の悪化などの影響がでるという考えのもと、移民・難民の受け入れを行ってきませんでした。しかし、入管法の改正に伴い、外国人受け入れの幅を拡大したことで、様々なステージで日本文化と外国文化とのギャップが生じ、様々な問題を引き起こしている現状があります。

Ⅱ.言語・文化の違いによって生じる諸問題

 今回、外国人労働者受け入れに伴う問題として3つを例に挙げて考えます。
 まず第一に、外国人労働者の育成に関する問題。外国人であるか否か、に限らず、企業に入り職を得ると、まずは育成を受けます。例えば、企業の掲げるコンセプトやコンプライアンス、マニュアルに関して様々な形で育成。この育成に関して、外国人労働者の育成に携わった男女735名のうち8割以上が「育成に苦労した」と回答するという結果もあがっています。その苦労の多くは「コミュニケーションの取りづらさ」を訴えている。その他の回答としては、主に文化の違いによって生まれるものがある。

 第二に、外国人労働者による暴行問題。2019年11月、Twitterにある動画があげられ話題となりました。内容としては、叱られていたベトナム人アルバイトが日本人の上司にミスを指摘され、それに対し嘘をついていたことに気づいた日本人上司が叱っていたところ、別のベトナム人アルバイトが日本人上司に暴行を行ったというもの。これに対し、Twitter上では、様々な意見が寄せられました。例えば、ベトナム人アルバイトに対しては「ベトナム人は日本に来るな。」や「最初に日本語で「すいませんでした。」って習わんのかな。」などの意見。一方で、「(-前略―)日本人も他国の文化を理解したほうがいいし、技能実習生も日本でのルールや決まりをよくわかった方がいいと思う。」や、「(-前略―)日本ももっと他の国の人を受け入れる体制をとってほしいですね。」といった日本人上司に対する意見もあります。ただ、この問題も前述の問題同様、両国の文化の違いを理解していないがゆえに発生しているものであるだろうと私は考えています。

 第三の問題として、ベトナム人技能実習生問題。ベトナム人に関する問題は近年、様々なメディアで目にするようになっている。その1つが前述の暴行問題。ここでは、ベトナム人技能実習生の実際の労働に伴って生じている問題について考えます。

 そもそも、Ⅰ項でも説明の通り、外国人技能実習生は日本で学んだ技術を母国に持って帰り、母国の発展に役立ててほしいという「途上国の発展のために」という考えのもと制度化されているものであります。しかし、その現状は奴隷のような扱い。一軒家以下の家に7人で暮らし、シャワーは1つといった過酷な生活。残業代が70円、90円といった究極の低賃金。もはや、外国人技能実習生に人権はないといっても過言ではない状態です。つまり、外国人技能実習制度は日本が低賃金で労働力を輸入する制度に過ぎないとの評価もできます。そのため、2019年4月改正の出入国管理法は低賃金で雇える外国人労働者の長期雇用に関する意味合いが強いと考えられています。

 ベトナム人技能実習生は、来日希望を持つと、現地の仲介会社に約110万円の手数料を払い日本に技能実習生としてやってきます。日本人の我々からしても高額に感じる手数料は、ベトナム人にとってはかなりの高額。ちなみに、ベトナムでの平均年収は約40万円。そのため、そのほとんどを借金として借り、日本にやってくる。そこまでして来日を希望するのには、文化的背景があります。ベトナム社会は、学歴を重視する傾向にあるため、その専門性に強いこだわりがあります。したがって、技能実習生として日本で先端技術を学び、母国に帰り活躍することをイメージしています。さらに、現地の仲介会社では、基本給は約130,000円と記された契約書にサインしていたとしても、いざ日本で技能実習生として労働をすると、基本給65,000円に加え、残業時間の時給は450円などといった違法ともいえる労働条件のもと労働をしている現状にあります。彼らは12時間近い労働をしていても、社会保険料や借金返済もあり、自由に使えるお金はほとんどない過酷な生活を強いられているのです。

 勤務時間も、残業が多く、休みが少ないため、過労死ラインをはるかに上回っているでしょう。しかし、2019年4月改正の入管法では、外国人労働者の受け入れを促す一方で、彼らの労働条件などに関しては、はっきりとした決まりを設けていません。他にも、日本人職員に暴行を受けたことを管理団体に訴えたものの、満足のいく対応はとってもらえず、会社を変えたいと訴えているものや、強制帰国させられた外国人労働者もいるという報告があります。

Ⅲ.諸問題解決のための支援案

 Ⅱ項で挙げた問題を始めとする様々な外国人労働に関する問題に対し、「郷に入っては郷に従え」精神でよいのかという問題を提起したいと思います。労働者自身の信教・信仰・文化・価値観はたいていが日本人のもつものとは一致しません。更に言えば、日本独自のマニュアル主義に対する理解もありません。前述の通り、政府は、これまで治安の悪化や国の社会保障費の負担が増加するなど、日本人が不利益を被るという判断のもと、移民・難民政策を行ってきませんんでした。そのため、他国に比べ、多文化共生施策に遅れを取っている現状があります。海外では、公的な制度の下で徹底した言語教育や言語普及に取り組んでいるところもあります。

 前述の外国人労働者の育成に関するアンケート結果からもわかるように、外国人労働者受け入れには言語支援が重要であると考えられます。それと同時に、外国人を労働者として雇用する日本人にも異文化を認める意識が必要であるだろう。現在、日本では多くの外国人が労働者として雇用されていたり、訓練生として技術を学ぶ者がいます。こういった文化の違いに対してどのような支援が効果的であるか。

 私は、日本語教育が大きな影響を与えると考えています。日本語教育によりコミュニケーションは計れるようになるほか、日本人の働くことへの考えやマニュアル主義の理解など、育成に悩む担当者の困難は改善に向かうでしょう。それにより、職場環境の改善にもつながると考えます。

 前項のベトナム人技能実習生の奴隷労働問題に関しては、主に制度の改革が解決には必要不可欠であるだろう。我々日本人から見てもこのような労働状況は異常であることは明らかです。ベトナム人技能実習生は日本語をうまく操ることができないため、外部から情報を仕入れたり、外部に相談することは難しいといわれています。そういった彼らに何ができるだろか。

 公的機関の対策としては、川崎市国際交流センターで外国人窓口相談センターを設け、日々の生活で困っていることや悩んでいることの相談に乗るというものがあります。一見、ただ話を聞くようにも見えるが、当センターの強みは、英語・中国語を始めとして、ベトナム語・タガログ語など全11言語に対応しています。前述の通り、外国人技能実習生は日本語を操るのが上手ではありません。したがって、その技能実習生が話しやすいように多様な言語で対応するというのは評価できることです。

 ほかにも、当センターでは、有料の日本語講座を開講するなど外国人に対する支援も行っています。また、愛知県名古屋市を拠点とする「NPO法人 名古屋ベトナムネット」では、ボランティア団体として無償でベトナム人労働者に日本語教育「チュンタムみなみ日本語教室」を行っています。ベトナムネットは、「名古屋ベトナムネットは、ベトナム好きなメンバーによって運営されている、ボランティアグループです。愛知大学の公開講座や朝日カルチャーセンターでベトナム語を勉強するメンバーによって発足」。

 ベトナムネットでは、前述の通り、ベトナム人を対象とした無償の日本語教育を行っています。なぜ無償なのか。前項で記した通り、彼らの生活は困窮を極めています。実際に、みなみ日本語教室に通うベトナム人労働者は、移動にかかる電車賃をも払うのをためらい、30分以上かけ、自転車で通っているという例も挙げられています。

 みなみ日本語教室のように無償の日本語教育を外国人に行うのは財源確保の問題などもあり、極めて困難であるだろう。しかし、彼らは他にもベトナム人と日本人の交流の場を広く設ける活動もしている。これにより、両者の間で自然とコミュニケーションが生まれ、外国人の孤立を防ぐことにもつながります。以上のことからも、日本語教育には様々な側面で外国人労働者問題解決の糸口となる効果が期待できると考えられます。


 今回の「在日外国人のキャリアを考えるー日本政府に隠された在日外国人の実態#1」はここまでにします。次回は「暮らす」「生活」にスポットライトを当ててお話します。
 日本に住む人々のキャリアは平等に保証されるべき事案です。外国人だからということはないでしょう。ただ、現状はそうなってしまっています。私たち日本人できることは何かしらあるはずです。これを考えることこそが「デザインシンキング」であり、プロティアンキャリア形成における重要な思考法なのでしょう。

それではぁ~!


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なかのっち@教育の未来を作る人
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