2024年37冊目『プレイングマネジャー』
プレイングマネジャーって大変なので何とかしなきゃと思っています。
現在70名弱の人と一緒に、このテーマについてディスカッションしだしています。
その際に、これが参考になるのではないか?と教えてもらった本です。
Essential Management Schoolでご一緒した本間正人さんの本です。
時間がない
ノルマが減らない
どう部下を指導していいかわからない
と困っている人に
プレイヤーとマネジャーの両立方法を教えてくれる本です。
主人公の山口智夫さんは
売れている営業です。
上司から営業課長への昇進を打診されました。
ただ山口さんの営業力を高く評価していた上司は、彼にプレイング兼務の課長を打診します。
課長昇進を喜んだ山口さんですが、課長業務が増えたことで業務が回らなくなります。
昇進したことで課長研修を受けるのに加えて、メンバーの同行、トラブル対応など日々の業務がひっ迫してきます。
そうなると自分の顧客への対応が後回しになりトラブルが発生します。
このままでは拙いと、自分なりに手を打ち、自分の顧客をメンバーに割り振ろうとします。
ところが、メンバーからは山口さんが自分だけ楽をしようとしているのではとネガティブな反応が起きます。
上司の山口さんへの依頼が安易だった上に、丸投げだったのですが、これってよくある事ですよね。
ではどうすればよいのか?
コーチングでチームをマネジメントすればよいというのが回答です。
この本では山口さんが尊敬する西川さんという部長が話を聞きながらコーチングしてくれます。
西川部長は、山口さんが失敗を糧にできるように振り返りを支援します。
1事実関係を正確に把握(記述)する
2体験前と体験後を比較する
3体験したことを他の人に話してみる
4自分の体験や学んだことを表現する語彙を増やす
5学んだことを活かすための戦略を立てる事
これ本当に大事ですよね
私たちはこれをG-POP(①Goal、②Pre(事前準備)、③On(実行結果)、④Post(振返り)といって、毎週振返っています。
1③に事実を正確に記述し、◎〇△×で評価をします
2②と③で比較します
3G-POPはグループコーチングで実施するので、内容を3人に話して、フィードバックを受けます
4周囲からの3人からのフィードバックで解釈が広がり、語彙が増えます
5Postで、◎〇の場合は再現性を高めるポイント。△×の場合は再発防止策を検討します
そして
翌週実施するNextPreで、次の課題をどうやって実現するのかHowを考えます
やる気のない先輩部下とのコミュニケーションの事例が秀逸です
1先輩部下の過去の仕事から話しやすい雰囲気を作るのと同時にやる気になってもらいます
2先輩部下の置かれた状況を理解しようと努力をします
3まずできそうな易しいターゲットでポジティブなイメトレをします
⇒これは即効性ありそうですよね
あるいは実力に差がある部下の指導も秀逸です
今回のエピソードでは、上記の先輩部下が良い仕事をしたことで、彼に実力が低いメンバーに同行をしてもらうのです。
チームのエース(候補)には、彼に対する長期のキャリアビジョンを語ることで、やる気と行動のコミットメントを得ます。
自身のプレイヤー度とマネジャー度を診断するアセスメントも付いてます
プレイングマネジャーのメリット、デメリットも整理されています
メリットは、指導、共感、判断スピード、現場の状況に即した戦略実行、人選の納得性、人件費抑制(笑)
デメリットは、忙しい、部下指導が困難、部下をライバル視、他部門との協調、スキル習得、緊急時に捕まえにくい、プレイヤー実績が下がると指導力も下がる
プレイングマネジャーのために支援できる事も書かれています
・キャプテンシップ研修
・時間のマネジメントの仕方
・ストレスマネジメントの仕方
相談室形式で事例も載っています
・多忙、部下能力開発、部下への指導、一体感醸成、上司の不理解
最後に会社としての取り組みのヒントが載っています
・安易に増やさない
・十分な事前準備
・できれば公募制
・サポートする仕組みの整備
・(失敗した場合の)チャンスを与える
冒頭のプロジェクトの問題意識は、まさにここです
プレイングマネジャーだけに背負わせるには重すぎると思うのです
それを約20年前にまとめている本間正人さんの慧眼には恐れいります。
▼前回のブックレビューです。
▼新著『業績を最大化させる 現場が動くマネジメント』です。