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2020年 62冊目『世界倒産図鑑』

失敗学という学問がありますよね。
成功は偶然の成功があるのですが、失敗は必然なのです。



本質通りにやっても成功しないことはあります。
しかし、本質を外すと必ず失敗するのです。

ということでタイトルに興味を持って手に取りました。
しかし、想像以上に学びが多い本でした。

特に2つです。
倒産した会社の分類の仕方です。

そして1社の倒産のまとめ方(章立て)です。
この2つが相まって、とても読みやすい本になっています。

まず分類です。
倒産の背景を大別すると
・戦略上の問題
・マネジメントの問題
に分けられます。

そして戦略上の問題を2つに分類すると
・過去の亡霊型:成功体験が強く、そこから抜け出せず、変る決断ができない。
・脆弱シナリオ型:漸弱なシナリオに依存し、何かがあれば終わる。

一方のマネジメントの問題を3つに分類すると
・焦りからの逸脱型:焦りから許容範囲を逸脱。
・大雑把型:マネジメントがアバウト・雑過ぎる。
・機能不全型:経営と現場の距離感が遠すぎて、組織として機能しない。
合計25社をこの5つに分類しています。

社数でいいうと
・過去の亡霊型8社:そごう、ポラロイド、コダックなど
・脆弱シナリオ型6社:エンロン、エルピーダメモリ、鈴木商店など
・焦り型4社:山一證券、北拓銀行、リーマンブラザーズなど
・大雑把型4社:マイカル、NOVA、林原など
・機能不全型3社:タカタ、シアーズ、コンチネンタル航空

私が主宰している中尾塾では、戦略上の問題とマネジメントの方では大雑把型、機能不全型にならないようにアドバイスしていることが多いかもと気づきました。

また、章立て、まとめ方は
「どういう企業だったのか」
「なぜ倒産したのか」
「どこで間違えたのか」
「私たちは何をまなぶべきなのか」
という4ポイントで整理しています。

しかも、インタビューなど全くなしで、公開情報だけでまとめているのです。

つまり書こうと思えば、私たちでも条件は同じです。
ところが、とても分かりやすく書いているのです。

1社ずつ(倒産劇なのに)楽しく読め、学びの多い本でした。

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