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2017年 66冊目『隷属なき道』

原題 Utopia for Realists and How we can get there. こちらの方が内容に沿っています。

著者は、ピケティにつぐ欧州の知性と言われているオランダのルトガー・ブレグマン。

好き嫌いあるかもしれませんが、読んだほうが良いです。
かなりお勧めです。

基本、様々なデータをベースに話が進みます。

※そのデータが正しいとするならば、かなり説得力があります。

・産業革命以降の2世紀で、それまで長期に停滞していた経済は250倍に、1人あたりの実質所得は10倍に増加。

・これは中世の人が夢見たユートピア状態。しかし、一方でうつ病が歴史上かってないほど健康問題になっている。

・貧富の差も大きくなっている。わずか62人の富豪が35億人の総資産より多い富を有する。

・現在のアメリカの貧富の差はローマ時代の奴隷との差より大きい(平均は高くなったが分散はとても大きくなった)

・貧困は、個人のIQを13ポイント低下させる(同じ農民に収穫前と後でIQテスト受検させた際の差異)

・貧困者に奨学金や教育プログラムを投資ししても、申し込まない。

・生活保護や母子家族手当て、就学援助、福祉プログラムをすべて止めて、国民に年間150万円のベーシックインカムを支給する。

・貧困者に目的不問の資金を与えると、教育に使いだす(これは各地で、いくつも時代で実績がある)

・ベーシックインカムなんて検討する国は特殊な国だと思うかもしれない。

・アメリカで60年代ニクソン大統領はその実施をもくろんでいた。これはフリードマンのような右派からガルブレイズのような左派まで支持を得ていた。

・実際、下院は圧倒多数で可決になった。

・上院で否決になったのも、1回目は額が低いというものだった!!

・その後、一部の保守派が19世紀英国の事例を(データの一部をねつ造して)報告し、ニクソン大統領は豹変。

・GDPは80年前にロシア人クズネッツ教授が作った指標。

・GDPは多くの労働を見逃し、医療やサービスといった分野で効率と収益に目を向けさせる。

・人生を価値あるものにする新しい計器盤が必要。

・優秀な人間が、銀行家ではなく研究者や科学者になれば才能はより社会に還元される。

※銀行家が1ドル儲けると社会が60セント損をする。研究者が1ドル儲けると社会に5ドル還元される。

・放置するとAIは中間層を無くしてしまう。

・国境を開くことで富は増大する。

※西側諸国は途上国支援で50年間に5兆ドル投資した。
しかし、国境を開けば、GDPは67-147%成長し、65兆ドルの富が生み出される。

・この本で提案したいのは、大きな路線変更

・奴隷制度の廃止、女性の解放も唱えられた当初は、正気の沙汰とは考えれていなかった。

ベーシックインカムも国境の開放も同じ。

▼前回のブックレビューです。


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