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2015年106冊目「諦める力」

為末大さんの本です。講演会に参加してサイン入りの本を頂きました。

ご存知だと思いますが、為末さんは、短距離走である400mハードルで、アジア人初のメダルを獲った方ですね。一度別の講演会で話を伺ったのですが、あまりに印象深かったので、再度講演会に参加しました。まったく別の話をされていて、それも興味深かったですね。

本の内容です。

自分自身の強みを把握して、自分自身が勝てる分野を見つけて、そこで勝負すると良い。勝てない分野に固執するのではなく、その分野を「諦めて」、勝てる分野にシフトする重要性を説かれています。

為末さん自身、元々は100m走の選手でした。中高から結果を出し、大学でも日本トップクラスでした。しかし、世界で戦って、このカテゴリーで表彰台に立てる可能性は極めて低い事を悟られました。これは、直感だけというよりも、今までの成績の伸び方などのデータから裏付けています。為末さん自身、成長が早熟だったので、身体的には中高校時に体格のピークが来ていました。ところが他の選手はもう少し後にピークが来るので、それに伴いタイムのピークも後に来るのです。

通常の日本の選手だと、それに気づかず、あるいは気づいても、今までやった努力に固執して、方向転換できません。いわゆるサンクコスト(埋没費用)と言う過去に執着するからですね。為末さんは、スピードに技術も必要で、しかも短距離では一番長い400mハードルに活路を見出しました。400mハードルのゴールではほとんどの選手がヘトヘト、ヘロヘロになっています。根性や運も必要です。これって、日本人も得意ですよね。

この大きな選択、100mを諦めた事が為末さんの成功の一つの要因でした。為末さんは、現役時代から、更に先を見ていました。スポーツで成果を出して、更に大きな事をしたいと考えていたのです。そう考えると100mか400mハードルかは、大きな事をするためのステップに過ぎません。これも路線変更できた理由なのです。

諦める力、とても大事です。

私自身、営業で成績を出せ、マネジャーにもなれました。営業から職種変更した年は、全社で年間最優秀営業の表彰を受けた年でした。しかし、企画業務への異動をしました。これは、当時の私に「諦める力」があった賜物だったからです。同期のIさんなど、天才営業が私の周りにいました。彼にずっと勝ち続けることはできないと感じていました。ただ、一方で、営業の一対一の勝負では勝てないのですが、団体戦では勝てる可能性が高いと感じていました。それが異動のきっかけでした。そんな事を思い出しました。

うまくいっていてもいてなくても、ついつい過去の努力や成果に執着してしまう事があります。路線変更するのは、負けだったり、弱いからだと感じてしまう傾向もあるかもしれません。自分の得たい事を再確認し、必要に応じて、しなやかに路線変更することが良いのだと思える本です。お勧めです。


▼今年のブックレビューです。よかったらご覧ください。 


▼PIVOTに出演しました。よかったらご覧ください。  


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