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2022年 55冊目『子ども虐待事例から学ぶ統合的アプローチ ホロニカル・アプローチによる心理的社会的支援』

友人の千賀 則史 さんの書かれた本です。
定森恭司さんが考えたホロニカル・アプローチについての本です。


定森さんが書いた文章を千賀さんが読んで、千賀さんが理解したことを書く。
それを定森さんが読んで、という循環的共共創作業によりこの本を作ったそうです。

お二人には30歳の年齢差があり、それが良かったとあります。
定森さんオリジナルのホロニカル・アプローチは理論家ではなく、現場での実践者にこそ有効だそうです。
そして千賀さんはまさに実践者なのです。

私は虐待の現場はまったくの門外漢なのですが、なるほどなという場面がありました。

ホロニカル・アプローチは、理屈は手順はあるようなのですが、相手に合わせてかなり融通無碍に変化させるのが特徴のようです。

ついつい現場では、自分の仮説をベースにヒヤリングするという事が起きるようです。

同じ学校を休むという事であっても、生徒や先生との関係だと思ってヒヤリングする専門家と家庭の問題だと思ってヒヤリングする専門家では、全く違う結論になることがあるそうです。

いわゆる自分に都合が良い情報だけをより重要だと感じるバイアスですね。

その結果、学校側に問題があると1人の専門家から報告を受けた親と家庭に問題があると別の専門家から報告を受けた校長では意見がかみ合わず、感情的な齟齬が出るなどというケースがあるそうです。

ホロニカルは、和製英語 部分の中に全体があるというニュアンスだそうです。

ホロニカル・アプローチとは教育的自己分析です。
現場では、瞬間の反応で勝負が決まるのです
そのやり方や考え方をまとめています。

前述のように先入観があるケースがある。
それを超えて、物事をどのように見ていくと良いのかを学ぶようです。

現在は、生きづらさを抱えているひとが多い。
治療モデルだとどうしても上下関係ができる。
だから主体者が治療者になるモデルだそうです。

だから、ホロニカル・アプローチは生きづらさを感じている人が(少しでも)生きやすくするという共同研究的協働性と言う考え方に基づいているのです。

不一致(生きづらさ)を一致(幸せ)に持って行く。
本人も共同観察することで、不一致と一致を観察できるようになるそうです。

そもそも児童相談所にいると、虐待や犯罪をしている人、されている人が援助を求めていない事があるそうです。

例えば、父親から見て 体罰は良いと思っている。
そして、子供も父親が好きなら良いと思っている。
つまり、誰も改善したいと思っていないのです。

そうなんです。そもそもお節介な場合があるのです。
そもそも、不一致と一致は遠くにあるのではなく近くにあるのです。
そして重要なのは、例えその状況が地獄だとしても、どう受け入れるのかもポイントなのです。

いわば、自由無碍の俯瞰であり主客合一と言う事ですね。
ちなみに虐待は複数要因が重なった時に置きやすいそうです。
複数要因とは、大人の要因、子供の要因、社会の要因(環境など)。
そして、これが1つでも無いと置きにくいのです。

だから、子供虐待は社会で助けるのが重要なのです。
実際は 子供を保護する
→親は取り戻したい
→話すしかない
→話し合う(関係の質を高める)
→困っている事を一緒に考える
→少しは変わる
これの繰り返しだそうです。

この様々な場面でホロニカル・アプローチが有効なのだそうです。
事例やエピソードがたくさん載っているので、わたしのような門外漢でも概観を理解できました。




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