2024年79冊目「ポストEVの競争軸 デジタルビークルの知られざる正体」
驚きですね。日本の自動車会社大丈夫か?そんな読後感を持つ本です。
DV(デジタルビークル)とは、デジタル技術をフルに活用して新たな価値を盛り込んだ次世代のクルマの事です。
世界の自動車市場で、電気自動車(EV)の成長鈍化が鮮明になってきました。いくつか理由があるのですが、例えば欧州や米国は割安な中国製EVの進出を阻むべく、高い関税で障壁を築いています。
ところが中国メーカーは既に次の競争を仕掛けているのです。
それが「DV競争」だというのです。
DVは、デジタル技術をフルに活用した次世代の自動車なのです。
ソフトウエアやネットワークを駆使し、高度な自動運転技術や大画面のインフォテインメント(情報+娯楽)を装備し、生成AIを活用した高度なコミュニケーション機能などを実現しているのです。
つまり、既存の自動車の価値に固執することなく、乗る人に新たな「価値」や「体験」をもたらしているのです。
このDV競争を主導するのは伝統的な自動車メーカーではなく、シャオミやファーウェイなどの中国の大手スマートフォンメーカーや、リ・オート、シャオペンといった新興EVメーカーです。
中国は、不動産市場の冷え込みとコロナからの回復の遅れがあり、経済全体は低迷していますし、個人消費も元気がないのです。
その結果、EV市場も冷え込んでいますが、両社は前年比4割から5割の成長を維持しているのです。
自動車のDV化は、ガラケーがスマートフォンに取って代わったのに匹敵する革新であり、この技術競争に乗り遅れることは許されません。
中国の後を追う日米欧の自動車メーカーも、2025年以降に相次いでDVを商品化する計画です。
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