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人は集まり、共に走る
今年の3月からとあるグループランに参加している。
グループランとは名前の通り、複数人が集まって同じペースで走るものだ。
私が取り組んでいるマラソンを始めとする陸上競技は基本的には個人戦だ。
しかし人は集まり、そして共に走る。
矛盾を感じるこの環境や現象が心地良く、救われている自分がいたので今の思いをここに残しておきたい。
グループランに参加し始めたきっかけ。
2月に、最近ランニングを始めた地元の先輩と一緒に地元のランニングショップへシューズを買いに行った。
事前にネットで取り扱っている商品を確認したところ、片田舎には似つかわしくない旬で充実したラインナップを展開していたので期待を抱いていた。
近所なのでジョグで店に到着。
今まであまり見たことがなかった HOKA ONE ONE のシューズがズラッと並んでディスプレイされている様に自然とテンションが上がった。
店主に足のサイズ測定をしてもらい、私の要望を伝えたところ適当なシューズを見繕ってくれた。
今まではスニーカー感覚でネットでシューズを購入していたこともあり、自分が思っていたサイズと適正サイズが1.5cmもずれていたことも店主に教えてもらった。
一発で気に入ったためスムーズに購入し、会計時にそのショップがグループランを主催していることを伝えられた。
開催曜日ごとにペース設定が異なり、当時私が走っていたペースに合うグループがあるということで誘ってもらった。
興味を唆られたので社交辞令抜きで「近いうちに来ます。」と伝えてその日は店をあとにした。
これがグループランに参加することになったきっかけだ。
初めてのグループラン参加。
平日の夜、仕事終わりにかるく身体をほぐしてショップへ向かった。
ショップには20名ほどのランナーが集まっていた。
対面で人と会う機会が激減しているのですこし緊張したが、親切に声掛けしてくれるランナーが多数いたためグループラン前に数名と挨拶を交わすことができた。
思い思いの靴やウェアを身に纏ったランナーの集団は輝いて見えた。
言葉を交わしながら準備運動を終え、定刻になるとアップをしつつスタート地点へ移動。
初参加ということで、移動前に紹介をしてもらった。
そして見慣れた道を知らない人達の集団と走った。
二列隊形で夜道を走る。
設定ペースが会話を交わすのにちょうどよく、心も身体もほぐれてきた。
"ランニング"という共通項があるので会話も無理なく弾む。
大会の出場経験や予定はありますか、お気に入りのランニングコースはどこですか、心拍数上がりきったあとにゾーン入るときありますよね、お気に入りのシューズ教えてください。
本当に無理がない。
興味があるから捻り出す必要がない。
そうして会話を楽しみながら、足並みを揃えながら走っていると気付けば10km地点を過ぎていた。
最後は隊列を崩してゴール地点までそれぞれのスパートを掛けていく。
常連さんたちが涼しい顔してガンガン抜いていく。
見ていて気持ちのいいフォームだ。
俄然闘争心が湧く。
彼らに引っ張られながら私も普段出さないペースでゴールまで必死に走る。
ゴール地点ではスカッとした表情の仲間たちが迎えてくれる。
なんて気持ちのいいコミュニティだろうか。
「またタイミングの合うときにいらしてください。義務感は感じない程度に、適度なプレッシャーを与え合える関係が理想ですね。」
帰り際、店主さんにそう声をかけてもらった。
自分が求めている関係性そのものだったので嬉しかった。
帰り道に自然と口角が上がるくらいに楽しかった。
初めてのグループラン参加はこうして終えた。
仲間と走るということ。
初めてのグループラン参加から早3ヶ月。
そのショップで買った靴での走行距離は既に450kmを超えている。
週に一回だいたい決まった顔ぶれと共に夜を走る。
その仲間が日中に何をしているかはあまり知らない。
自分からは聞かないようにしている。
話の流れで聞くことはあるけど、気持ちのいい距離感を見誤らないようにしている。
"ランニング"だけで繋がっている関係。
個人競技を通して共に刺激し合える関係。
社会での立場や地位を関係なくフラットに会える関係。
ラストスパートの時に剥き出しで競り合える関係。
一件ドライに見えるかもしれないが、とても気持ちのいいものだ。
コミュニティに属すということは往々にしてハードルが高いものが多い。
それはそもそも既成コミュニティへの参加障壁が高かったり、属してからの貢献活動などが付き纏うからだ。
居場所を守る。
運良く(そこには見えない努力はあるが)適度な距離感でそれぞれの目的を果たせるコミュニティになっているので今のところとても心地よい。
もちろんこれからの関与度が変わってくることはあるだろうが、見誤らなければ特段問題はないだろう。
特に今の私にとって、自分の背景を一から説明せずとも、共通の話題のみで楽しむことができる仲間がいる居場所というのはとても貴重で尊いものになっている。
一メンバーとしてこのコミュニティを守るために私が出来ることは、怪我せず走り続けて場を盛り立て、ショップで定期的にアイテムを購入することだと思っている。
自分の居場所は自分の手の届く範囲で守る。それが原理原則。
最近では客と店主というよりはトレーニーとトレーナーに近い関係になりつつあるけれども。
履き違えず、なぜこの場所が継続できているのかという観点を主体的に持ち続けていたい。
人は集まり、共に走る。
自分とその居場所を守るために。
モチベーションを維持するために。
人との接点を保つために。
理由はなんだっていいんだ。
来週も仲間と走るのが楽しみだ。
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