センサーライト・プラネット
センサーライト・プラネット
月まで四億九五七七万六一〇一歩。そんな落書きが町に増え始めたのはいつ頃からだろう。去年の今頃にはなかったはずだから、ここ最近のことなのかもしれない。深夜の町を歩きながら私は、どこからでも同じ歩数を書き殴る誰かを探していた。いや、探してはいない。ただ落書きを辿り、会えたらいいなとぼんやり思っていただけだ。
工場の裏手を歩いているとき、人感センサーのライトに照らされた。一瞬、光の中で何も見えない。けれど脳裏では、暗闇の中に私だけが浮かび上がる姿が