70gが絶妙だった!こだわり釜揚げしらすで、しらす丼を作ってみた話
こんにちは、さかな一代の中乃一です。突然、さっぱりしたものを食べたいな、と思い立ちました。そうです、今年突然終わってしまった「夏」、温度差にどうにも体がいうことを効かない。そんな日は、とっておきのしらす丼を食べましょうか!
釜揚げしらす丼の話に行く、その前に、今回使わせてもらう釜揚げしらすのドラマを話してみたいと思います。
吉田漁港(静岡)という「しらす専業」港の存在
静岡県はしらすの全国有数の産地です。駿河湾から遠州灘にかけては、それこそ、どこでもしらすの水揚げがあります。静岡県沿岸は、黒潮の影響を受ける豊かな海で、しらすもこの黒潮と一緒に南の海からやってきます。豊富な栄養を日々取り込みながらやってくるんですね。そして日本の沿岸まで来ると、川から入り込む栄養分を求めて、河口付近にやってきます。豊富な水系をもつ、駿河湾はしらすの成長にとって最適な場所なんです。
最深部2500メートル、「駿河湾トラフ」が通る、日本一深い湾
駿河湾は、湾に注ぐ大きな水系が豊富にあり非常に豊かな海です。加えて「駿河湾トラス」があり、最大2500メートルの深さの谷が海底を通っています。その海底の谷が、比較的岸から近いところから始まっているので、河川からダイレクトに陸上由来の養分が海底トラフに注ぎ込み、栄養度の高い海水がどんどん凝縮されていきます。こうして蓄積された海底の養分は、深海の低温で安定した状態で長く保たれます。そこへ、季節によって、押し寄せる強度の変化する黒潮など、様々な要因が引き起こす駿河湾深海の湧昇流によって、この栄養分が表層の海水の層へ運ばれる奇跡が、この海の沿岸には起こります。栄養分はしらすが食べるプランクトンを育みます。駿河湾については、しらすをはじめとした水産資源の観点でたいへん興味深いだけでなく、成り立ちがナショナルジオグラフィックさながらのドラマで非常に面白い場所ですので、興味を持たれましたら詳しいサイトを是非ご覧になってみてくださいね!
大井川の河口に存在する吉田町、吉田漁港
おそらく「しらす専業の漁港」と漁家さんが言い切ってしまう港は、全国でもここだけでしょう。シーズンになれば、鮮度抜群の生しらすを求めて、地元に限らず、全国からお客さんが訪れます。ぼくも、そのうちの一人です。先に説明した駿河湾の仕組みで、しらす生育のための高条件となる豊かなしらすの漁場が、大井川の河口の漁港・吉田漁港からはとにかく近く、水揚げ後の高い鮮度を保ったままのしらすを、鮮度が落ちる前に食べることが出来る場所だからです。物流スピードが速まった現代で頑張ってみても、まだしらすの鮮度の落ちの方が早くて「最高の生しらす」は、ここでしか食べられない、という事実。
試行錯誤から生まれた、釜揚げしらすの70gパック
しらすを生でご家庭で食べていただくのは難しいですが、しらすにはおいしい食べ方が他にもありますね。しらす干しや釜揚げしらすです。鮮度の良い生であることと引き換えに「保存性」を手に入れた加工食品ですが、しらすを「おいしく食べる」という点で先人が考えた、すばらしい知恵ですね。
しらす産地に点在する美しい生産拠点
加工するにしても、しらすの鮮度の高いうちがいいわけで、生しらすの産地がそのまま釜揚げしらすや、しらす干しの産地になっていると思います。船の上で氷でしめて、港についてすぐにボイルします。吉田漁港に限らず、しらす産地の漁港の周りは、しらすを天日で干す加工場がすぐ近くにあって、しらす加工のシーズンにはきれいな白い干し棚が整然と並ぶ姿が大変美しいです。
加工作業はとても手間のかかる作業
「しらす」は、カタクチイワシなどのイワシの稚魚です。でも、釜揚げしらすやしらす干しに、まれに鮮やかなタコやエビなどの稚魚も混じります。食べても良いものであればまだいいですが、ゴミなどの異物の発見には、ひときわ気を使います。発見には機械も使いますが、ひとつひとつ丁寧に手作業で取り除く他ありません。また、天日にさらすしらす干しでは、このほかにも風に運ばれてくる微細なゴミや、空からの贈り物・鳥害も気にしなくてはなりませんから、なお大変です。職人さんたちのこの手間で、真っ白なしらす干し、釜揚げしらすとなります。余談ですが、ぼくは、時にしらすモンスターと呼ばれる小さなタコやエビが大好きです、見ていて楽しくなりませんか?
産地加工場の苦難 効率化の波
価格競争による大量生産・効率化、多くの食品加工の現場では、機械化が進み、また加工場の合併、大手による吸収、不採算加工場の閉鎖が進んでいます。ぼくとしては、生産性が優先されて置き換わっていく仕事が多い中で、変わらずに職人さんが手をかけた、産地の「おいしい釜揚げしらす」をこれからも変わらずに食べたい!と思います。しかし、テクノロジーの発達とともに、以前は不可能だったこともどんどん可能にしていますから、その差は本当にわずかな差でしかないかもしれません。
伝統の生産工程を惜しむのではなく 使いやすく・無駄なく を選んだ
しらすの流通は、冷凍技術の発達とともに進化、家庭で釜揚げ直後の鮮度のいいしらすが食べられるようになりました。もとより、温度帯変更(販売店で解凍・小分けして販売)で、食品スーパーに行けば少量づつの釜揚げしらすが買えます。でも解凍後は、使い切らなければならないし、解凍して冷蔵で売られた商品では時間がたって味が落ちる。
そこで、冷凍でも少量づつの使い切りの小分けされた釜揚げしらすが生まれました。また、この「70gの袋入り」というのも、一人分の一食としてちょうどいい量を、加工場と研究してのこと。加工の技を惜しむことなく、本当にいい商品で、使いたい時に、必要な量ごと解凍して、家庭で使いやすい、「利便性で支持される」ことを選びました。
お手軽アレンジでオリジナルしらす丼
さて、十分にさかな一代の商品開発のドラマを紹介させてもらったところで(笑)、お手軽なしらす丼には、いろいろなレシピがあります。どれも目移りしてしまいます。そこで今回は、シンプルさが一番の、浜の漁家さんから教えてもらった漁家の釜揚げしらす丼と、ぼくの母ちゃんの味、薬味たっぷり・釜揚げしらすのねぎまみれ丼をご紹介します。
ご覧の通り、とってもシンプル!アツアツの白飯に、鰹節・花かつおを敷き詰めて、今回はちょうど刻み海苔があったので刻み海苔ですが、板海苔をちぎって乗せても海苔の香りが立っていいですよ。そして釜揚げしらす70gをドンと山盛りに。ミョウガを添えて出来上がりです。薬味はみなさんのお好みで、ミョウガでもネギでもいいですよ。白ごまを適度に振りかけたら、なお良し。
そのまま食べて、釜揚げしらすの旨味と、釜揚げの時のわずかな塩味を、シンプルに味わうも良し、すりおろした生姜を加えた醤油をかけて、豪快にくちいっぱいに掻き込むのも良し。
自分好みのアレンジが豊富にできるのが釜揚げしらす丼のいいところ
もう一つ、薬味たっぷり・釜揚げしらすのねぎまみれ丼です。静岡県は、しらすの産地であるのと同時に、県西部の特産「白葱」という地でもあります。画像の様に、じゃんじゃんねぎ笹を盛ります。だから、釜揚げしらすのねぎまみれ丼。子供の頃のぼくの記憶では、薬味のはずのねぎを主に食べてる?感が半端なかったですが、改めて作ってみたら、とってもさっぱりしていて美味い! 釜揚げしらす増量、ねぎ増量で、2杯目をお代わりしてしまいました。
そうそう、ぼくの母ちゃんは、静岡県磐田市の人なのです。ちなみに、磐田市の福田漁港や、お隣浜松の舞阪や雄踏といった浜名湖の漁港も、しらすの産地として有名ですね!
ちなみに、笹切りのねぎは、しっかり流水にさらしてから、ざるに上げて水を切り、盛りつける。「ねぎ笹先生」は、いろんな料理に入れて使えるし、お料理の主材をお皿に盛り付けた時のツマとしても使えるので万能。和食なら、料理がお上手な人感がお手軽に演出できます。雰囲気重要( ´∀` )
さて、こだわり釜揚げしらす丼を作ってみた!話はいかがでしたか?今回ご紹介した釜揚げしらす丼に使った釜揚げしらすは、さかな一代のネットショップで購入できます。ショップのブログページで、詳しいレシピを紹介しますので、そちらも是非ご覧ください。