王様の塩辛! 王様が塩辛を作るからのネーミングなのか検証してきた話?!
こんにちは、さかな一代の中乃一です。以前、再現率99%小田原アジフライを再現した繋がりがあるのか?無いのか?今回は小田原編です。小田原の玄関口、JRの小田原駅にできた新商業施設<ミナカ小田原>で、創業400年超の老舗鮑屋の直営店「魚商 小田原六左衛門」が、この街を訪れる人たちを出迎えてくれます。ぼくは、ここを平日に訪問したのだけれど、さすが小田原は観光の街だけあって、どこかしらに非日常の時間が流れて、すっかり観光に来たかのような気分にさせてくれました。
今回は、ぼくと「鮑屋」という超がつく小田原の老舗水産会社の出会いについて、みなさんにお届けしたいと思います。
結びつけてくれたのは、さかな一代の大人たちの一人、豊洲の市場人でもある、イカタコのプロフェッショナル。きっとこの人の扱う、イカやタコはみなさんの口にもきっと入っていると思う。「アオリイカを使った、超旨い塩辛があるから、中乃君も行ってみるかい?」と、ある日の会話から始まった。豊洲からは車を使って約1時間半、ぼくたちは小田原(早川)港まで一気に走った。
箱根の山から流れる早川が、相模湾に注ぐところに小田原港はあります。別名?正式名?、川にちなんで早川港といいます。有名な「提灯」を模した灯台が特徴的なだけでなく、相模湾の新鮮な海産物が集まる、ものすごく活気のある港です。
この港の魚市場からすぐのところに、小田原の老舗水産加工・製造会社、鮑屋さんがあります。1587年創業の、超がつく老舗。1587年といえば、豊臣秀吉が九州平定を成した年。記録が残っているだけでも、小田原のお寺の、当時を記録した過去帳に、創業家の市川六左衛門の名前を見つけることが出来るというのだから、記録よりもう少し前から小田原で魚の商いをしていたのかもしれない。
鮑屋さんのこと、小田原のこと、そして、気になる「アオリイカの塩辛」のことを是非ともお聞きしたい!ということで、さかな一代の大人たちは、鮑屋さんの猪俣課長に、鮑屋の歴史や、商品開発の深いーお話しをお聞きしました。
猪俣 剛史
株式会社鮑屋では、いくたのオリジナル商品を開発、提案して、鮑屋の商品を世に出してきた仕掛け人。小田原愛の強い素敵なさかな一代の仲間です。
小田原の街と鮑屋の400年超の歴史は、そのまま共存の歴史
豊かな相模湾に面した小田原は、古くから沖で獲れる豊富な魚種の魚に恵まれる、豊な漁村が連なった浜辺の街だったはずだ。江戸幕府が置かれ、街道が整備されると、小田原は江戸から見て、箱根以西へ延びる険しい山々への最後の休息地であり、逆に江戸へは、ここからは陸でも便が良いということで、大変栄えた場所だった。創業者市川六左衛門の幼名、崎次郎にちなんだ、荷印「さ」印の六左衛門は、開発が進む江戸に、小田原藩の要人500名近くが出向く際に、その要人たちの魚を賄ったという話が残されているという。堅実に魚を納める六左衛門に対して、小田原藩は、藩内の鮑を一手に引き受ける御用商人に指名したそうだ。ここが、今に続く鮑屋のルーツというところだろう。小田原という豊かな海と、江戸へのアクセスでの好立地を生かして、その後も鮑屋は商いを順調に伸ばしていく。その間も、自然相手の漁業だけに、たびたび不漁にみまわれる小田原近隣の漁村の漁民の暮らしを助け、漁港への融資を行うなどして、小田原の水産、城下町小田原の活性化にと、老舗として旨い魚を届け続けることにとことんこだわってきた。
それは、近代に至ってもブレずにこだわり続ける鮑屋のスタイルだ。時代の変遷や、幾多の災害にも耐え、鮑屋さんは、小田原の街、小田原の水産とともにあり続けた。1950年近代的な小田原漁港の建設が開始され、そして完成すると、海鮮問屋としての鮑屋は、小田原漁港の仲卸となり豊かな相模湾の鮮魚を、量販店や小売店、飲食店などに販売するだけでなく、築地など巨大消費地の消費市場へも供給してきた。
冒頭の<ミナカ小田原>への「魚商 小田原六左衛門」の出店も、この鮑屋の歴史からすれば、なにも不思議に感じたりはしない。小田原きっての老舗として、街の活性化と、これからも美味しい魚を届け続けるための、新しいチャレンジの姿勢そのものだから納得する。
お店の中には、50種類以上の自社製のオリジナル商品が並んでいた。「魚商 小田原六左衛門」の商品を見ていると、その先に、家庭での食事の場や、贈る相手の笑顔が思わず浮かんできてしまう。ホントにいいお店だから、小田原へ行った際には是非訪問して、鮑屋さんのスピリッツを感じてみて欲しいと思う。
イカの王様「あおりいか」を使ったら、きっと旨いに違いない。
「そんな老舗が!異次元の塩辛うぉ~?!」と、唸る塩辛を開発してしまう。鮑屋が老舗として伝統を守りながらも、自ら挑戦する企業だということは、会社の歴史で紹介したけども、「塩辛といえば、スルメイカ(真イカ)という常識をぶち破った」のは、大きな衝撃だったに違いない。その辺は、今回の鮑屋さんへの訪問に誘ってくれたイカのプロのからも聞かされていた。
あおりいかは、イカの中では大型で、大きいもので2㎏近くまで成長します。甘みが強くてねっとりとした食感が特徴で、お刺身にしてみて絶品、寿司ネタとしても常に大人気で、ほかのイカでは味わえない魅力が満載なイカです。数字の上でも、他のイカに比べて甘み成分が突出して豊富に含まれていて、きちんと手当をして冷蔵庫に寝かせると、成分の分解が進んで別格だと評価されています。
ぼくも、口の中でとろけるような感覚が大好きで「いかの王様」の異名をとるのも納得です。大型のイカなだけに、肉質を生かすも殺すも、包丁の入れ方が大事といわれていて、職人の仕事が活きる、江戸前寿司では欠かせないネタですね!
そんなあおりいかを、贅沢に塩辛に使ったら、絶品に違いない。
はい、考えてしまったんですね。原料となるあおりいかを集める、はいはいやってやりましょう。そこは今は豊洲の市場人のイカのプロフェッショナルがしっかり動きましたよ。あとは、鮑屋さんの職人さんが、あおりいかにあった独自の製法で、刺身のような弾力・舌触りを実現し、とっても美味しい塩辛にしました。刺身の肝和えのような食感で、塩辛に抵抗がある方でも美味しく食べて頂ける、正に自慢の一品が生まれました。
「いかの王様」の、あおりいかの塩辛だから「王様の塩辛」。こうして、どこにもない、あおりいかを使った唯一無二の塩辛が誕生したんです。
鮑屋の「王様の塩辛」
いろいろ商品がある中で、これだけをほめるのはどうか?となるのだけれども、これはものすごく旨いです。さかな一代のサイトで購入できるので、是非ぼくと同じ幸せを感じてください。あと、さかな一代では残念ながら扱えないんですが(涙)、鮑屋さんの「ごはんの一番海苔」が今回の訪問の印象にすごく残っています。有明産一番摘みの海苔を使い、カットせずに海苔の佃煮にしていて、濃厚な海苔の風味と食感が楽しめます。こちらは「小田原六左衛門」限定の商品です、是非、小田原六左衛門のお店か、専用サイトをご覧いただいて、購入ください。
試食タイムは幸せな時間
残念ながら「王様の塩辛」は、「王様が作るからのネーミング」ではありませんでしたが、逆に「王様の気分が味わえる贅沢な塩辛だった」ことはわかっていただけたのではないでしょうか。
どうやって試食したか、みなさん気になりませんか? じゃあ、少しだけお見せちちゃいましょうか。なんと、「王様の塩辛」と、「ごはんの一番海苔」を、特製のおにぎりでいただきました!
訪問当日は、鮑屋さんとは午前中のアポイントでしたが、豊洲での早朝の市場の仕事がひと段落した後で小田原へ向かったので、打ち合わせを終えたのは、まだまだ昼には早い時間のこと。小田原港近くの鮑屋さん直営の「さじるし食堂」さんはまだオープン準備中といった中で、小田原六左衛門さんで、画像にあるおにぎりをいただきました!
魅力的な鮑屋さんの商品たち
この他にも、会社ごと応援したくなってしまう歴史の詰まった鮑屋さんの、魅力的な商品を、さかな一代ではたくさん紹介しています。地元小田原の、「曽我の十郎梅」を使った「さめ軟骨梅水晶」や、今回の訪問を期に、猪俣さんに懇願して販売が実現した「ホタテとイクラの入ったサーモン塩辛」も、「王様の塩辛」同様に、素材を生かした開発ストーリーのいっぱい詰まった商品です。是非、さかな一代のサイトをチェックしてみてくださいね。
鮑屋の猪俣課長、今回は忙しい中、ぼくたちの対応をしていただいて、ありがとうございました。猪俣課長とは、開発中の商品など、いろいろ打ち合わせをさせていただきました。そのうち、みなさんにお届けできる、さかな一代オリジナルの、鮑屋さん謹製の商品が出来たりしたら嬉しいですね。最後の最後に、市川社長にもお会いしました。とっても気さくで面白くて、さかな一代の大人たち認定しちゃいました。
小田原の街は温かい
最後に。小田原の港は、魅力がいっぱいです。朝早くは、港も市場も、関係者がお仕事をされていますし、お邪魔にならないように気を付けながら、見学に行ってみるのも、いろいろな魚があって勉強になるし面白いと思います。昼前くらいには、市場のお仕事がひと段落して、代って観光でいらっしゃる方で大変な賑わいです。
特に有名な?!小田原港の「魚市場食堂」は、画像の黄色のフォークリフトの上あたりの2Fです。お昼時は、行列が出来ること間違いなしの人気です。その他にも、市場すぐの「小田原早川漁村」さんや、今回訪問の鮑屋さんの直営店「さじるし食堂」さんも港からすぐの近さでお勧めです。
小田原港には、JR早川駅からすぐなので、鉄道からのアクセスも良くて、電車も便利です。
ご紹介しきれなかった画像も掲載しておきます。それでは、また次のお話をお楽しみに!
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