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tama0531
飛行船の日の夢
飛行船の日の夢
今日は飛行船の日。空を見上げると、ゆったりとした飛行船が浮かんでいる。まるで時間の流れが違う場所にいるかのように、穏やかに、優雅に。
「一度でいいから乗ってみたいな」
そうつぶやいた私の隣で、祖父が微笑んだ。
「昔、乗ったことがあるよ。動力はプロペラだ。飛行船はエンジンでゆっくり進むんだ。気球と違って自由に動けるから、遊覧飛行にもぴったりさ」
祖父の話を聞きながら、私は想像した。静かに風に乗り、街を見下ろす自分の姿を。海の上を漂い、遠くの島々を眺める旅を。
「お前が大人になったら、一緒に乗ろうか」
祖父がそう言ったのは、もう十年以上も前のことだった。
今、私は飛行船のチケットを握りしめている。今日は、ニニ日。二が並ぶニコニコの日。祖父との約束を果たすため、飛行船に乗る。
「おじいちゃん、見てる?」
雲の上で、私は空を見上げた。どこかで祖父が微笑んでいる気がした。
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