十四日年越
十四日年越か
子どもの頃
親がそんなこと話してた
記憶はある
ただ、何かした記憶はないな
生活様式が変わってしまった訳か
おはようございます。
その日は十四日だった。一人暮らしの私は、いつものように年末に実家に帰るつもりでいた。だが、大雪で新幹線は止まり、実家への帰省は断念せざるを得なかった。
コンビニで買った年越しそばを温めながら、ふと窓の外を見ると、雪は静かに降り続いていた。時計は午後十一時四十五分。
「お帰りなさい」
突然、玄関のチャイムが鳴った。開けてみると、そこには同じマンションに住む老婆が、手作りのおせち料理を持って立っていた。
「一人で年越しなんて寂しいでしょう」
その優しい言葉に、私の目から涙がこぼれ落ちた。