いいモノ と 売れるモノ。
こんにちは。中村です。
今日は「いいモノと売れるモノ」について、売り手目線での話をしていこうと思います。
一般的には「いいモノであれば売れるでしょ」と思っている人が多いのかもしれませんが、実際は違います。
例えば飲食店を見てみるとわかります。繁盛している店が必ずしも「最高に美味しい店」ではないのですね。極端に言えば「そこそこの味」でも行列ができている店もあります。おいしさは繁盛店になるために必要なひとつの条件ではありますが、それがすべてではないということです。
私は今までいろんなモノやサービスを仕掛けてきましたが、その経験から間違いなく言えることは「いいモノをつくる能力」と「売れるモノにしていく能力」はまったく別物だということ。
つまり、このつながっているかのように思われている2つの言葉は「繁盛までの別アプローチ」だということです。これらはそれぞれに戦略立てて進めていく必要がある避けては通れない繁盛への壁なのです。
いいモノ=価値があるかどうか。
どんないいモノであっても、どんないいサービスであっても、それが「誰に対してどういいのか」という情報が伝わっていなければ、それはただのモノ。つまり、無いに等しいのです。
しかもその情報が、それを必要としている人に正しく伝わらなければ役に立たない。その情報には「価値」がなければなりません。
いつも言うことですが、価値とは「それを必要とする人の数」です。いくら高性能でもそれを欲しいと思う人がいないのであれば、その商品には価値がないということです。
それが商品ではなく、何かを教える人(講師)であっても、
「あなたにそれを教えてほしい」と思う人がいないのであれば、あなたにまだ価値がないということです。つまり、あなたという先生はまだ「いいモノ(人)」になっていないということですね。
その場合は、自分を磨くことをしなくてはならないということ。それが「いいモノをつくっていく」ということなのです。講師としての自分自身を高品質にしていくというようなイメージなのかもしれませんね。
売れるモノに必要なこと。
実際に「売れる」という結果を考えれば、やはりそこにはマーケティングだということになります。
その点は合わせてこの記事を読んでいただけるといいのですが、
今日は少し違うアプローチで書いていこうと思います。
私は「売れる」という結果が欲しければ、
顧客が「買う、依頼する、申し込む」という行動を
”売る側”が先に考えることが重要だと思っています。
人は何かを手に入れるために財布の口を開くとき、
ふたつの感情によってそれを決めるのです。
それは、「損得感」と「好き嫌い」です。
損得感は、自分の中にある理性。
好き嫌いは、自分の中にある感性です。
人はそれぞれ自分の中で判断基準というか、買うかどうかを決断するポイントのようなものを持っているものです。
例えば 「いい人かもしれないけど、好きじゃない」という感性。
ビジネスに例えると、「いいモノかもしれないけど、好きじゃない」。
これだけで買おうとは思われません。
でも理性の部分で「でもこれを手に入れないと、来月から困る」と思えば、もしかしたら「買う」という判断をする可能性も出てきます。
何が言いたいのかというと、
売れるモノには「感性をくすぐる要素」、つまり「なんかこれ好き!」というような、人の好き嫌いをはっきり打ち出す明確さがあるということです。
万人が「好き」というモノはごくわずか。ほぼ無いと思っていい。
誰のどんな感性に響かせるのか。それを考えず、八方美人になっていないか。「できれば老若男女みんなに好きと言われたい」と考えれば考えるほど、それは”売れにくく”なってくるし、顧客からみれば”書いにくいモノ”になっているという現実に気付くべきです。
そしてもうひとつは理性の部分です。理性とは合理的に考える能力であり、結論を引き出す能力でもあります。
自分にとってその金額で購入すべきかを決める部分です。
人はどちらを優先させるのか。
理性と感性。損得と好き嫌い。
人はどちらを優先させるのでしょうか。
その答えは結論としてはやはり「人それぞれ」ということになります。
ただそれでは意味がないので、ここからは私個人的にどう考えているのか。という話をしていきましょう。
私はいつもプロジェクトを進めるときに、
「感性」をメインに組み立てて、その感性をもとに「理性」を考えていくようにしています。少しわかりにくいですね。。
人が何かを買うとき、「あ、これ好き」とか「これ欲しいな」というように「それを買った後の自分」を感情でイメージするわけです。
例えば、ある時計を見つけたとしましょう。
「その時計をしている自分」をイメージして、それがかっこいいと思うから「欲しい」という感情が湧いてくるのですね。
でももう時計は持っているし、それだって何年か前には「欲しくて欲しくてたまらずに買った」ものだったりするのです。つまり、その欲しい時計は必要不可欠のものじゃない。人から見ればそんなもの必要ないじゃないって思うくらいのものです。
でも欲しい。買おうと思えば買える。少しくらい無理してでも欲しい。
そう思ったときに「必要のないものを買う自分を肯定」するのです。
その肯定するときに必要なのが理性(つまりロジックや合理性など)です。
人は感情でモノを買って、理屈でその買うという行動を正当化するものだからですね。
すごい昔、まだ携帯電話を10人に1人くらいしか持っていない頃、
私は携帯電話が欲しくて妻とこんな会話をしたことがあります。
「携帯電話を買いたいんだけど」「いらんでしょ?」「いや、必要だよ」「何に必要?」「ほら、事故したときとかにすぐ連絡できるじゃん」
当然ながら却下でしたが(笑)、事故したときに連絡できるじゃん。。という言葉は完全に「理屈」です。携帯電話の機能的な優位点をアピールしているのだけど、それはつまり「欲しい」という感情を正当化するために言っている、まあ「言い訳」みたいなものなのかもしれませんね。
人は 80%の非合理性と、20%の合理性で決める。
理屈や論理をいくら並べても嬉しくないのが人というものです。
人に行動してほしいのなら「感情」が最強です。感情こそが人の行動を促す重要な鍵です。つまり「買う」という行動も、やはり「感情」によって大きく動いていくのです。
それはなぜか。
人は「ロジックで説き伏せても、心の中ではうなづかない」からです。
ロジックで理解はするけど納得はしない。説得するだけならロジックでできるけど、納得して行動させることはできない。
人を動かすのは感情です。エモーションです。
ロジックだけでは動かない。合理性だけでは動かない。
「正しいけど、つまらない」「いいんだろうけど、好きじゃない」
その感情が芽生えてしまう商品は売れません。品質を評価してはくれるかもしれないけど、結局売れない。私にはそのような商品をいくつも見てきたからわかります。
人が買いたいと思う商品には「感情を動かす力」があります。
人はエモーショナルな生きもの。それを忘れてはいけません。
まとめ
私は何かの商品やサービスを仕掛けるとき、必ずエモーショナルな部分をまず先に考えます。「あ、それ欲しい」という感情を生み出すものは何かということを考えるのです。
当然スペックや機能的に優れた点、またはロジックだって大事です。でもそれを先に考えない。あくまで先に考えるのは「欲しいと思われるため」「感情を動かすため」の何かです。
「売れるモノ」にはそれがあります。「売れる」にはワケがあるのです。
それを考えた後にロジックでそれを正当化する。
それによって、80%のエモーションと20%のロジックというバランスが生まれて、その商品が「売れるモノ」になっていくのです。
あと付け加えておくと、「いいモノ」であることが重要ではないと言っているのではありません。品質の悪いものはどんなに仕掛けても売れません。
飲食店の例でも「美味しい」ということを突き詰めるということは大事なことです。いいモノでなければ結局買った後に喜ばれません。
私が言いたいのは、その2つは別物だということです。
そして「売れる」という結果のことだけを言うと、「いいモノ」であること以上に「欲しい」「好き」という感情を抱かせることが重要だと言いたいのです。
そして、世の中の「いいモノ」が、すべて「売れるモノ」になっていくことこそが、私の永遠のテーマでもあるのです。
それでは今日はこの辺で。
またお会いしましょう。