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📽️この酩酊状態を映画館で体験してほしい/映画「敵」【三行エンタメ所感」
摂取したエンタメを
「三行だけ」感想を述べる記事です。
多分にネタバレを含みます!
今回は、今年1/17公開の映画
「敵」
▼予告映像
▼公式サイト
観たきっかけ
どうしても町場に出る用事があり、
どうせ1時間車を飛ばして
ガソリン代がかかるなら、と
町場での予定をツメツメにしようとして
映画館での上映作品を調べたときに見つけた。
①
私は、個人的な性質上、家で落ち着いて映像を見ることができない。わかりやすいミステリーやエンタメエンタメしたドラマとかなら見れるんだけど。
ということで、
映画館のことを「映画を観ないと出られない部屋」だと思い、
修行の場と思って、あえてわかりにくそうな映画や、間が重要そうな映画や、全然趣味じゃない映画を観に行くことにしている。
予想通り、観た後でも思ったが、
この映画は、家でスマホでサブスクで見ようとしたら、
私は、集中して観れなかったと思う。
気を抜くと現実が妄想に侵食されている映画だから、
ただでさえ自分の立ち位置がわからなくなるのに、
気を抜いて観ていると
さらにわからなくなるからだ。
つまり、
映画館で観て大正解の映画だった。
白黒映画を映画館で観るという体験もできた!
上映館が限られていて、
車を1時間飛ばして映画館まで行ったが、
全然お釣りが帰って来た。
観てよかった。
悪い夢を観た後のような
苦い感覚が残った(これは褒め言葉)
この話を
漫画家(プロ) で映画好きの友達にしたら、
彼も車を1時間飛ばして
観に行ってくれて、
「面白かった!今度会ったとき、語り合いたい!」と
熱を帯びたLINEをくれた。
②
この映画は終始、
淡々とした「年配の男性の日常」 が
淡々と描かれている。
そう、淡々と描かれている。
正直、なんか劇的な出来事も起こらない、つまらない日常なのであるが、
なんか知らんが、観れる。
カットや構図や陰影なのか、間なのか、わからんのだが、
それらが丁寧で、観れる画なのだ。
飽きてしまうことがない。
③
言語化できない、「居心地の悪さ」
前半、あまりにも規律正しいのであるが、
後半、その規律正しい生活が、
崩壊していく。
妄想と現実が
混ざってしまっていく様を
「映像」で見せている。
セリフも言葉少なで、
説明もない。
つまり、情報が最小限なのである。
本当に、
画面に映るモノや、
人や喋ることの組み合わせや
シーンの切り替えだけで
崩壊を表現していて、
なんだか自分も酩酊状態になる。
これ、人に感想を伝えるのが
本当に難しい映画で
オススメしづらいんだけど、
観に行ったほうがいいと
確信を持っておすすめできる。
不思議な映画である。
そして、「彼にとっての『敵』とは何だったのか」は最後まで全然わからない。
というか、見る側に回答が委ねられていて、
回答の範囲が多様だ。
ちなみに、
私は妄想と現実が混ざってしまうことを止められなくて、
自分の居場所がわからなくなることで
自分の命が脅かされる妄想(=敵)が加速する現象自体が怖いんだ、ということで、
敵がなんなのかは、回答しなくていいんじゃないかと思った。
これ、よく映画したなあ、すごいな。
映画監督なのか、脚本家なのか
作り手の、脳の底力みたいなものが
ありありと見えるようだった。
三行しか書かないと決めつつも
説明が難しくて行数が増えてしまった。実力不足です。
このあたりで、終わりにします。
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▼映画の詳細(公式YouTubeより)
第37回東京国際映画祭 三冠!
東京グランプリ/最優秀男優賞/最優秀監督賞 受賞
日本文学の巨人・筒井康隆 原作
12年ぶり、待望の映画主演 #長塚京三
『桐島、部活やめるってよ』『騙し絵の牙』 #吉田大八 監督
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