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【レポート】NFT WEEKS TOKYO オープニング配信『2.コミュニティ×NFT』

いつもご覧いただきまして、誠にありがとうございます。中村尚裕です。

私、さる2021年12月10日に開かれました『NFT WEEKS TOKYO オープニング・セレモニー』にオンライン参加(聴講)して参りました。

このイヴェントの模様については、こちらの配信URLにて録画をご覧いただけます。

昨今のART事情で熱く語られる『NFT』。『メタヴァース(メタバース、MetaVerse)』というバズ・ワードと結び付けられて、単語自体が独り歩きどころか独走している感も拭えませんが。
 かくいう私もNFTを理解しているうちには入りません。ただ、その可能性についてはワクワクしております。

ここではそのNFTにまつわる活用の考え方とその事例を、私なりの考察を交えてご紹介。ただし私が創作者の一人でもある関係上、考察は『創作の世界へNFTがもたらすであろう変化』にも及びます。よろしくお付き合いのほどを。

○前回の記事はこちら

◎『コミュニティ×NFT』

○コミュニティと【価値】

さて、ここでは『コミュニティ』とNFTの相乗効果について考察してみましょう。

この『コミュニティ』という概念、小は同好の集まりから大は国家そのものまで、広く『人の集まり』を指すものと、私は認識しています。

そう、国家といえども、『人の集まり』という本質においては、『コミュニティの一形態に過ぎない』わけです。
 現実世界で国家と言えば、ともすれば『巨大で複雑、個人の手などそうそう届かない強大な存在』と映りがちではあります。もちろん巨大な国家事業の数々を動かすわけなので、規模は巨大ではあるのですが、ここでよく考えてみましょう――現代において『国家という巨大なコミュニティを駆動している存在』は、果たして何か。

答えは一つではないでしょうが、そのうち小さくない割合を占めるであろう存在、それは【価値】ではありますまいか。
 もちろん、国家を直接に動かしているのは人と規律(例えば法や王権など)ですが、そのうち人を動かすに当たっては、あるいは関連して物資を動かすに当たっては、欠かすことのできない存在があります。
 それが『対価としての【価値】』です。

この【価値】は人の暮らしていく上で欠かせない存在であり、また物資(とその所有権)を動かす(あるいは保存する)に当たっても、やはり欠かせない存在です。
 何せ『原初の取引である物々交換』にしてからが、『物事に付随する【価値】を釣り合わせて取り交わす行為』なわけです。ですから、『【価値】という概念』なくしては『人もモノも動かない』ことになります。

この【価値】、これまでの世界では通貨が『国家という中央集権型組織』によって発行され、【価値】を保証される“【価値】ある存在”として、流通してきたわけです。あるいは並行して『金銀をはじめとした現物資産』が、こちらは主として『中央取引所という中央集権型組織』によって【価値】を保証される“【価値】ある存在”として、流通してきたわけです。
 ではここに、『世界中の市場参加者』に【価値】を決められ、『世界中のコンピュータ』に【価値】を保証される“【価値】ある存在”が加わったら?

この“【価値】ある存在”の、少なくとも一つが仮想資産、さらにその代表的存在が、NFTです。

○【価値】を決める者

これら“【価値】ある存在”の持つ【価値】は、私の理解するところ、もはや“対等”です。

なぜなら『メタヴァース×NFT』の項で述べさせていただいた通り、現実世界と電子世界、両者の中に存在する【価値】が、NFTによって釣り合って“対等”な存在になるからです。

もちろん『世界中の市場参加者』が認めたら――という前提が付きますが、それを言えば通貨も現物資産も、(為替のように取引される【場】では)『市場参加者』の評価次第でその【価値】を上下させるのです。その視点から見れば、通貨も現物資産も仮想資産(NFTを含む)も、何ら変わるところがありません――一点を除いて。

ただ一点、仮想資産(NFTを含む)が異なっているのは『世界中が総意として【価値】を決める』ということです。『中央集権型組織』が【価値】評価に関わらない、言うなれば『分散型の集団』が最初からその【価値】を決めることになります。

この事実、『誰でも通貨や現物資産と“対等”な“【価値】ある存在”の発行者になれる』というインパクトを生み出します。もちろんその【価値】を決めるのは『世界中の市場参加者』であって、意図した通りの値付けは不可能ですが。

実はここで、さらに巨大なインパクトが顔を出します。
 先ほど私は、『通貨も現物資産も、仮想資産(NFTを含む)も、持つ【価値】はもはや“対等”と』申し上げました。そして仮想資産(NFTを含む)の【価値】は、『世界中の市場参加者』がその総意として決定します。
 この時、“対等”に取引される通貨や現物資産は、仮想資産(NFTを含む)を通じて『世界中市場参加者の総意に則した【価値】評価』を下されるのです。つまり通貨も現物資産も、その【価値】評価は『世界中の市場参加者』の総意に委ねられるわけです。

この事実に気付いた瞬間、『【価値】評価が世界中の市場参加者に開放される(“Open”になる)』ことになります。【価値】評価の主導権が『中央集権型組織』の手を離れるわけですね。

○【価値】を生む者

この時、“【価値】ある存在”の発行者に眼を向けてみましょう。
 通貨は国家が発行していますし、現物資産は開拓したり掘り出したり、要は『基本として最初に所有権を主張し認められた者』が発行者に相当する立場を占めますね。では、仮想資産(NFTを含む)を発行するのは?
 ことNFTにおいては、発行するのは主として『民間の個人やコミュニティ』です。

これが意味するところは。
 『NFTの発行者が、従来の【価値】の発行者と、同じ土俵に立つ』ということです。

つまり、『民間の個人やコミュニティ』が国家や資産家と“対等”な競争相手になる――ということになるのです。もちろんその前提として『NFTの【価値】を認められる実力』に拠るところはあるにせよ。

ことここに至り、『“【価値】の高いNFT”を発行する民間の個人やコミュニティ』は、国家にも匹敵する影響力を発揮し得ることになります。

○『コミュニティ・ドリヴン』の世界

さて、“【価値】の高いNFT”を生み出すに当たっては。
 個人単独よりは、チームとして機能するコミュニティの方がおおむね有利です。例えば『活動につぎ込める労力』という一点を切り取ってみても、ある程度の人数が有機的に繋がって動いた方が有利に立ちやすい――とは、容易に想像が及ぶところですが。

ではコミュニティの規模については、ひたすら大きな方が有利か――と言えば、必ずしもそうとは限りません。

『大企業病』という単語が象徴する通り、適材適所や全体のモチヴェーション向上といった条件を高い水準に保てなければ、コミュニティとしての能力は上がりません。むしろ意志決定の速度や内部の意志疎通を考えれば、コミュニティの規模が膨らむほど『不利になり得る要因』は積み上がっていきます。

よって、ここで有利になると私が予測しますコミュニティ像は『行動力に秀でた個人で構成され、互いの能力を相互活用できる、小規模なコミュニティ』と申すもの。
 こういったコミュニティの送り出す【価値】と、それに紐付いたNFTは、その評価によっては国家にも匹敵する影響力を生み出すことになります。
 『コミュニティ・ドリヴン』、つまり『能力に秀でたコミュニティが世界を駆動する』可能性ですね。

○“【価値】の高いNFT”像と、そのポテンシャル

では、それほどまでに影響力を持つ【価値】とは、果たしてどんな代物か――というところに関心が向くと思います。

これは私の予測ですが。
 例えば創作物。これが、その候補の一つとして外せない存在ではありますまいか――私はそう考えております。

考えてもみて下さい。いわゆる『社会現象化』にまで至った創作物は、確実に存在するのです。
 しかも『ただ売れただけ』ではありません。作品によっては新たな市場を切り拓き、場合によっては『世界の【価値観】』すら変えてきた実績があります。未来を先取りし、実際その方向へ世界を強力に導いた作品だって存在するのです。
 これを『影響力を持つ【価値】』と呼ばずして、何と呼べというのでしょうか。

さて。
 『影響力を持つ【価値】』の、可能性とは言え一例を申し上げました。これに限らずとも、『影響力を持つ【価値】』が存在し得る事実はご想像いただけたのではないでしょうか。

ここで。
 この『影響力を持つ【価値】』に紐付いて、“【価値】の高いNFT”が生まれたなら――どうなるでしょう。

『影響力を持つ【価値】』を生み出したコミュニティが、力強く世界を駆動することになるのではないでしょうか。

これが、私の理解する『コミュニティ・ドリヴン』の威力です。

もちろん、これほどの威力を誇るまでには至らずとも。
 NFTは個人やコミュニティの生み出した【価値】に応じて、相応の利益をもたらします――世界中から。
 
 これが何を意味するかと申せば。
 仮に既存の【枠】内で不遇な扱いを受けていた【価値】が、そしてその作り手である個人やコミュニティがあったとします。
 これまでは『【枠】内の評価』こそが、【価値】を定める基準の全てでした。
 ですが、NFTを通じて世界にその【価値】評価を問うたなら、さてどうでしょう。

世界の評価基準は単一ではありません。眼にした【価値】に渋い評価を下すコミュニティもあれば、大喝采をもって迎えるコミュニティもあるはずです。もちろん、【価値】そのものがポテンシャルを持っていることが大前提ではありますが。

つまりNFTは、【価値】の作り手と受け手を繋ぐマッチングの架け橋、あるいはその端緒ともなり得るのです。
 こうして【価値】を認められ、徐々にコミュニティが力を付けていく――というストーリィのきっかけにも、NFTはなるわけです。将来の『コミュニティ・ドリヴン』が形成されていく可能性というわけですね。

こうした意味でも、NFTの持つ可能性は決して小さくないと申せましょう。

○次回予告

今回は第2回として『コミュニティ×NFT』の内容と考察をお届けしました。
 追って第3回として、『ゲーム×NFT』の内容と考察をお届けします。

よろしければまたお付き合いくださいませ。

それでは引き続き、よろしくお願いいたします。

○次の記事


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