交響曲第9番
さっきまで外は雨だった
垂れこめた雲に
いつもの道が閑散と
寒さを受け止めている
凛とした空気は
身じろぎもしない
冬の到来に口を閉ざす
昨日の交響曲第9番が
寒気を突き抜け 轟く
チェロの旋律が
からっぽの身体を揺るがす
何もない
もとはと言えば何もない
からっぽなんだ
血は身体をめぐっているのに
外気とは隔たりがあって
その熱は微力でとどかない
すべては偉大な宇宙の中にあって
ふれられない
融合するしか
手だてはない
ナカムラ・エム
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