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眠っていた過去をひらく

 外は雨、何処に向かうのかも定かではない台風が、ゆっくりと日本列島を覆い尽くしていきます。  
洪水警報も大雨警報も、日常的になってしまいました。
最近、冒頭に季節とか自然環境を書き加えているのは、無意識に思い出す為だったかなと思います。

 先日私は、普段開けない引き出しを開けて、ちょっと探し物をしていました。   そこで思わぬものを見つけてしまいました。
私が離婚した20年程前に、賞金目当てで書いた小説の原稿です。
今はもうなくなってしまった出版社ですが、たしか壁天大賞という公募がありました。  賞金の1000万円に目がくらみました。

 以前に『なぜ私は書くのか』でも少し触れさせて頂いたのですが、私は45才の時、無職で離婚しています。
離婚の理由は話せば長くなりますし、私に非がないのかと言えば、そうとも言い切れないので、割愛します。
二人の子供は中学生で、一人おいて行けと言われたのですが、「お前が残れ!私はいやだ!」の兄弟げんかの末、二人とも何を見込んだのか、無職の私について来たのです。
そんな時によく小説なんて書いていられたねと思いますよね。
なかなか仕事が見つからなかった時のつなぎの事務のアルバイトが、とても暇で、会社の片隅にあったワープロで書きました。

 一次審査、二次審査と通過の通知がくるたびに、子供たちと、ハラハラドキドキしていました。
残念ながら最終で落ちたということで、大層な評価といっしょに戻ってきました。  自費出版しませんか?ということでした。
1000万円に踊らされていた私たちはガックリ肩を落としました。

その後、読み返すこともなく、二つ折りになっていました。
恐る恐るですが、開いて冒頭の部分を読んで見ました。
思っていたより、アグレッシブでした。
と同時にあの頃が甦ってきました。
書くってこういうことでもあるのですね。
もう今となっては、胸をえぐられることもない様々なことが、甦ってきました。    この頃から、私は世の中に反発していたんだなと・・・。
職探ししていて、絶望しました。
日本では36才を超えた女は、人材ではないんだなと思いましたもの。
時給3000円という破格のアルバイトに飛びついて電話すれば、何才ですか?と聞かれ、電話を切られます。
まあこれはキャバクラだったみたいだから、私が見当外れだったのかもしれないですが・・・。
私は社会経験の多さの割に、世間知らずで、男女平等という名のもとの不平等を生きてきました。

 そして話を戻すと、その駄作だと思っていた小説ですが、そんなに卑下することもないのではないかと、思ったのです。
これを三人称にして、少し加筆したらいいかも知れないと思いました。
ところがです。  問題発生です。
2万字ちょっとの原稿の、半分が消失しています。
ワープロで打ったものを、プリントアウトしているこの紙は感熱紙だったので、時間の経過とともに、白紙に戻ってしまうのです。
なので、復元する方法を調べました。
熱に反応する紙なので、ドライヤーで暖める、もしくは密封して冷凍庫にいれると、出ていました。
ドライヤーをあててみたのですが、時間がかかりそうなので、昨日から冷凍庫に入れています。
部分的に復活しているのですが、まだまだのところの方が多くて、どうなることやら、様子見です。   もしかして粉々になってしまうのかも知れないです。

いい方法を知っていたら教えて頂けたら嬉しいです。

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