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感性という曖昧なもの


20年ぶりに再会した美容師T

 今年の6月、20年ぶりに再会できた美容師Tさんの所に昨日2回目のカットに行ってきました。
あまりに暑い日々でしたので、カットしてしまったら、束ねられなくて、暑いだろうと言う怠惰な思いもあって、3ヶ月近くあいてしまいました。
前回、別の美容室で染めた、ブルーのカラーはまだ鮮やかに残っていたので、それを生かして、クールなウルフカットにしてもらいました。
流石、カットが上手なので、伸びてきても、少しづつ変化していく、ニュアンスも楽しめました。
来週くらいから、少し涼しくなるよという予報を楽しみに、3ヶ月ぶりにカットに行くことにしました。
3月に染めたカラーは不思議な程、色褪せずに残っていたので、今回もカットのみです。 
お店は今、リニューアルの工事中とのことで、仮店舗に出向きました。
3時の予約でしたが、気温は35度、ノースリーブのコットンシャツにバギーのジーンズと言う軽装ですが、徒歩25分という距離を歩いたら目がくらみそうでした。
20年前にこの腕のいい美容師T氏から離脱したのにはそれなりの理由がありました。   その頃、彼は30才で腕がいいだけにたくさんのお客様を持っていました。
聞くところによれば、都内3店舗の売り上げよりも、彼個人の売り上げのほうが、上回っていたようです。
それは誰でも、鼻高々になりますよね。  しかたないことです。
人間だもの。
その頃私が感じたのは、この人、個人単価を上げようとしているんだなという思いです。   NO1になっても、NO1になったからこそ、その上を目指したくなる。 人の欲は尽きないのです。
カットだけのつもりで行っても、トリートメントだのなんだので1万円をこえてしまうようになりました。
断ればいい話ですが、そのお勧めを受け入れないと、微妙に軽視されている感じがしました。
そして私は友人の紹介で、別のカリスマ美容師さんに乗り換えたものの、凄い速さでカットされる、このカリスマと言われる美容師さんを見ていたら、これなら私にも出来そうな気がして以来、15年位の間、セルフカットに挑むこととなりました。
昨年、会社を辞めてからはカラーをしたいが為に美容室復帰しました。
そして、偶然にも転勤を経て、戻ってきたT氏と再会しました。
あらためて、彼のスタイリストとしての感性は、賞賛に値するものでした。

感性という曖昧なもの

今回私は、どんな風にしたいのかも決めかねていて、アニメの男の子の横顔のスケッチと、後一つ女性のウイッグのスクリーンショットを見せたのです。  そのウイッグのほうはなんとなく私にしては女っぽい感じがしていたのですが、秒で却下されます。
アニメの方はホントにラフなスケッチですが、鼻の位置から前髪の長さを考察して、大分切るけどいい?と聞かれてOKしました。
T氏のニュアンスを察知する力と、立体的に把握するスキルは凄いんです。
そしてそれらを支える技術があるから、成立ちます。
20年の歳月を経て、彼も人の親となり、いろんな意味で成熟した感じがします。

今回、雑談していたら、T氏は鹿児島の出身で、4才の息子さんを連れて夏休みは鹿児島に帰省したそうです。
高校は、調理師を養成するようなところに行っていて、コックになりたかったそうです。
たぶん彼のセンスを、持ってしたら、料理も美味しいんだと思いますが、美容師になってくれて、よかったし、出会ってくれてありがとうと、言いたいです。

大袈裟なと思うかもしれませんが、日々を機嫌よく過ごす上で、ヘヤースタイルは、大きく作用する大事なカテゴリィです。
そう思って振り返れば、セルフカットの15年は、私は息を潜めて耐えていた15年のようにも、思えます。

今回のカットは、真っすぐに降ろしたら、目を覆ってしまう前髪を、ほんの少しかき分けて、ナチュラルで、中性的なスタイルに仕上がりました。
年齢を凌駕して、想像のちょっと上をいくスタイリングに、にんまりしてしまいます。

T氏は、いろんな人の感性を感じとって、それを形にする能力に長けているのだと思うのです、これってなんにでも通じる気がします。
AIに驚異を覚えている私は、常に人がAIに勝るものを探してしまいます。
AIと人を差別化するには、この感性という曖昧なものは、最重要アイテムのように思うのですが、いかがでしょうか?
難点は、誰にでも備わっているわけじゃないことです。

                ナカムラ・エム




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