reborn 2
先日、『変身願望』の中で、妄想していた小説の書き出しから、つなげて見ました。 rebornというタイトルで、多分全3話になるかと思います。
思い出していただけたら幸いです。
天音 翔 26才、僕はその筋の組員です。
抗争の時に銃撃されて、かなりの出血をしたので、一週間意識がなく、生死をさ迷ったようです。
こうして奇跡的に目を覚ますことができました。
とりあえずの回復を待って、僕はあにきと住んでるマンションに帰りました。
玄関ドアを開けると、僕が拾ってきた黒猫のみみちゃんが出迎えてくれました。
僕にすり寄ろうとして、尻尾を立てたみみは、ギョ!として退散してしまいました。 多分、僕の中にいる私に気づいてしまったのでしょう。
「あにき!ただいま!」 「おう!翔! もう大丈夫か?」
「大丈夫です。 ご心配おかけしました」
「もうだめかと思ったぞ」
「僕もです」
「おまえ、この間から気になってたんだけど、どうしたよ! 僕っていうの調子狂うよな」
「えっ! オ レ!っていったほうがいいですか?」
「まあ いいよどんな気持ちの変化か知らねえけど、どっちでも翔が好きなようにしろよ なんかおぼちゃまみてえだな」
「とりあえず 風呂わかしといたから入って来いよ」
「ありがとうございます」
僕の中の私は僕の裸に初めて遭遇する。
まだ顔すらまともに見ていなかった。
恐る恐る、鏡に映る僕を、見つめる。
極道らしからぬ顔かもしれない・・・。
色白で、右目だけが奥二重の醤油顔・・・。
背はたぶん175センチ位、若干細い体幹には、繊細な筋肉がついている。
そして、右脇腹に銃創、背中には15センチ程度の傷跡がある。
そして、驚いたのは、キュッと締まった尻の両側に、青い龍がいた。
僕は龍にシャワーを浴びせた。
水滴は、はじかれて落ちてゆく・・・。
僕の中の私は僕の身体に少しの恐れと、少しの希望を感じた。
2頭の青龍も翔も、美しかった。
「久々のの風呂で、さっぱりしました」
「帰ってくる早々に悪いんだけど、話とかなきゃいけないことがあるんだよ・・・組のこと」
「なんですか?」
「コロナ渦から、飲食店も軒並み店閉めてるし、このご時世だろ 組を維持するのも大変らしいんだ。 頭は徐々に解体しようとしてるんだ」
「俺も、お前も、自分の身の振り方考えなきゃならん」
「それだけ、頭にいれといてくれ」
「わかりました」
「あにき、renonはどうなってます?」
「しばらく休むって凌さんに伝えてあるけど、明日にでもお前から連絡入れろ」 「腹減ったなぁ」 「なんか作ります?」
「えっ!お前そんなことできるの?」
「冷蔵庫になんかあります?」
「わかんねえ 何もないだろ! 今日は食べに行こうぜ!翔の全快祝いだ」
つづく ナカムラ・エム