Lyrics #11 心静か

その昔、いゃ昔むかし、だいぶ昔、確か大阪万博のあたりかと…、小学校の「学芸会」(まるで大衆演劇・歌謡ショー付きみたいな、ちびっこ芸能大会のような舞台)があった時代です。今の若い方には戦前の昭和か、明治時代か、なんて見られるでしょう、きっと。

歌謡(唱歌)、演舞(お遊戯、ダンス)、演劇(寸劇)の３部構成。その中で小学6年生の僕が、なんと演劇の花形役に選ばれてしまったときのことです。

演劇好きのY先生の、1対1の長い長いオーデションがあり、小学2年の時に
不朽の名作「桃太郎」のきびだんご役と、鬼ヶ島の岩礁役という1人2役をやって以来、長い名脇役時代を経て、なんとなんとシェークスピア作「ベニスの商人」の主役級メンバーに選ばれてしまったのです。いや、実力で勝ち取ったのです。


まだ演目を知らない演者が放課後の教室に集められ、円陣を作ってわいわいガヤガヤ待っていましたが、Y先生が最後の配役を決めかねているような・・・。
そしてようやく先生がやって来て、みんなを順番に見回した後、まず僕に対して「しょうがない、君はシャイロックで」と言われた時、「君はシャーロックで」と聞き間違えてしまい、おぉ、シャーロック・ホームズか、そうかそうかと、あの頃にして頭の中では既にマントを羽織った自分がいました。