【短編小説】世界

あっという間に毎日が過ぎていく。
今日も1日がすぐに過ぎた。
仕事中の出来事がまるで夢物語のようで、悪夢のようで。
まるでそんな出来事はなかったかのように記憶が曖昧になる。
本当にあった出来事だったのかわからない。
僕はいつから現実を生きられなくなったのだろう。
妄想の世界にはたくさんの仲間がいて、幸せな日々があって。
もしかしたらそちらの世界が現実なのかもしれないって。
もうどちらが現実かわからなくて。
悪夢のような世界が本当の現実で、幸せな世界は妄想の中の世界で。
悪夢の世界でも人に囲まれているけど、あまり幸せじゃなくて。
悪夢の世界では僕の理解者はいない。
でも幸せの世界では僕の理解者がたくさんいる。
いっそのこと幸せな妄想の世界で生きる方が幸せなのだろう。
悪夢の世界を閉じてしまって。
もしも悪夢の世界に希望がなくなった時、僕はその世界を閉じるだろう。
悪夢の世界で生きられないなら、その世界を壊してしまえばいい。
そうすれば何も見なくて済む。
希望のない世界で生きる意味はない。
これからも悪夢の世界で生きる意味はあるのだろうか。
そんな世界より幸せな世界を見ていた方が幸せだろう。

いつでも世界を閉じることができると思いながら、今日も僕は悪夢の世界を生き抜く。

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