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【剣】

幼稚園では毎日のように戦いごっこや、何とかレンジャーごっこで大にぎわい。手刀を構えて「スチャ」って相手を見据え「ぅぇぃ、ぅぇい」ってやり合う姿は少々危ないんじゃない?って思う事もあるけど、「度」が過ぎない限りは3歩離れて見守るたかちてんていです。

そこにやってきました「武器」を持ったお友達。そうです広告で作った剣を片手にポーズを決めるお友達がやってきたのです。飾りも何もついていない、ただただ広告を丸めただけの剣だけれど、それはお友達にとっては宝物の剣です。ルパンの石川五右衛門が残鉄剣を溺愛するように大切な剣なのです。

この剣。お友達なりにこだわりがあるらしくぐるぐるに丸めただけではダメなのです。出来るだけ細く、出来るだけ堅く、出来るだけ長く作るのがお友達好み。でもこういう風に作るのは至難の業です。大抵のお友達は担任を捕まえて広告をヒラヒラと振りかざし「剣作ってぇ〜」なのです。

そんな中事務所にやってきた年中さんの中の一人は、器用にお友達を引きつける剣を作ることが出来ます。「先生広告頂戴ね」なんていうやいなや、広告を端の方からクルクルと巻き手のひらを上手に使ってあっという間に剣一丁あがり。指先が器用なお友達でも剣を作るのって難しいんですよ。そんなもんだからお友達からの注文が殺到しておるのです。

そんな剣作りの職人技を目の当たりにしたたかちてんていは、お友達をひっつかまえて「君は先生みたいだなぁ。これから剣作りの先生って呼ぼう!みんなも○君に剣を作ってもらうときは○先生剣作ってください!っていうんだぞ!」なぁんて言うと、順番待ちをしていたお友達は「○先生!剣を!剣を作って下さい!ボクは細くて堅くしてください!!」なんて注文するのでした。

そして剣職人は「先生だってぇ〜。ボク剣作りの先生なのかなぁ?」ってとびきりの笑顔でお友達の注文を受け続けるのでした。

試しにこの広告剣、お友達に作らせてみて下さい。なかなか細く、堅く、長く作れませんから。
【2006.0125】

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