守りに入りすぎると他人が自分の世界から消えていく

引きこもりやニートの人たちにおすすめのできる書籍がこちらの一冊である。橋本治が書いた本の中で、読んだことのある書籍としては、かけこみ人生相談や恋愛論などがあるが、本書はそれらの中でも、もっともおすすめのできる書籍であるといえる。なぜおすすめできるかというと、当事者のだれもが自覚しているけれども、そのことを認めないように目を背けている部分を的確に見抜き、彼らの抱える問題に光を当てて問題提起したからだ。ひきこもりやニートたちの内面世界はどのように動いているのかをうまく表現したのが本書であるといえる。ここに書かれていることから目を背け、問題を見過ごしたいと思うのが人間の心理であるけれど、橋本はそうした人間の弱い部分や狡い部分を見過ごさなかった。ここに彼の洞察力のすごさがある。どうしてこれほど人間の心理を読み取ることができるのかと感嘆するばかりである。

この本を読んで書いたレビューがこちら。

もっと他人から影響を受けたいと考えているけど、自分が変化することは「断固拒否」の姿勢を持っている人や自分が傷つくことを恐れて自身の内部に築かれた砦をいつまでも守りたいと考えている人は、一読する価値のある書籍である。