听写レビュー:本気で学ぶ超上級中国語
やりましたよ。全部听写やりました。
やってないものはレビューしませんからね。
2年半ほど前に半分ほどやって放置してましたが、「やりかけ」ってのがずっと心の中に引っかかってたので。
今回はとにかく冷静に、心を無にして、なんとかやりきりました。
このシリーズの他の級はやってないのでわかりません。
とにかく今回は超上級の話。
結論先に書きますけど、推さない。他にテキストいっぱいあるから。それやって。
なかむらは全ての先生や本の筆者の方に敬意を払いたい()し、
「個人の感想です」は免罪符ではないと思うので、本稿ははかなりマイルドに書いてます。
空気感から、なかむらの腹の中の本音を感じ取ってもらえれば。
「中検準一級、HSK6級対策に最適」か
表紙の謳い文句です。
これは筆者さんじゃなくて出版社さんとか編集者さんなのかな。
いやーでも同シリーズの他の言語版はこんな書き方じゃないし、いや、これはわからん…(ということにしておこう)
なかむらは6級や準一級の問題を結構真面目に観察してる(方だと思う)んですが、
この教科書は、使われてる語彙が少し異質に思える。
筆者さんらHSK6級の词汇表は見てるのかな。
過去問はどれだけ解いたのかな。
「上級と思える難しそうなエッセイ」を書いて、
その中から文法事項をつまんで解説した、くらいに見えてしまう。
一定の難度はある。でも「試験に最適」を謳うのは。
Amazonの低評価レビューが辛辣で、的確
★1個とか2個で評価してるレビューから引用します。
なかむらもほぼ同意見です。
長文の選定が、とにかくキツい
筆者さん個人の主観がグイグイ前面に出てきて、読んでて(聞いてて)しんどい。
自己啓発的な要素とか、スピリチュアルな感じとか、悪い意味で非科学的なテーマとか。
・女性はこうあるべき
みたいなちょっと時代錯誤かな…と感じるくらいのはまだ軽いほうで、
・この世界は「物質」「念波」「エネルギー」でできている。
・悪い考えが集まると宇宙に悪いエネルギーが溜まり、戦争、自然災害、病気がもたらされる。
・汗をたくさんかく運動は心臓の栄養液を減らすことになる。だから短距離走の選手が心臓発作で死ぬ。
・ある司会者がジムでトレーニングして腹筋を8つに割ったけど若くして癌で死んだ
いやいやいやそんな…
まだ大陸の教科書で、所謂「偉大なる中国万歳」してるやつの方が気持ちがいい。
作り込み
長文はまぁ、千歩譲って合う合わないもあるからいいのよ。
なかむらには合わなかった、それだけなのかもしれない。
もう少し、手間をかけてほしかった。
私は本を書いたことも作ったこともないけど、めちゃくちゃ大変なのは想像できる。
拼音ミスとか誤植とかある程度はしょうがないところはあるのも、わかる。
が、その量とか、質の面で、「本当に最後の最後まで確認しましたか?」
って疑わざるを得ない所が多々。
古典やよく言われる言葉からの引用とかもあるんだけど、原文あたるとちょっと違ってたり。
確認不足に加えて、自分の主張のためにちょっと改変したりしてない?
(人生八雅から敢えて“酒”抜いて“瓷”入れなかった?)
先生の指導が前提
各課ごとに翻訳とか作文の問題があるんですが、
問題を投げっぱなしで模範回答がないんですよね。(これは他の教科書でもあるある)
スピリチュアルな話題に対しての「あなたならどう思うか」という問いが多くて。
やってて「どうすんだこれ…」感が。
听写的な観点からだと、意外と…
とは言え、実際听写してみるとまぁ、まぁ、まぁ、なところもあって…。
それなりのボリューム感
全11課で、なかむらで1課3〜5日。(本文、会話、関連情報)約45日。
生词には例文がついてるので、それもやればもっと。
4000円弱でこの量なら…まぁ。いや〜でもそれなら大陸からの輸入書買うかな。
見慣れない単語達
HSKとか中検の研究が緩いのと、長文のテーマが突拍子もないことが功を奏したのか、
普通に試験の勉強してるだけでは出会わない単語達が結構出てくる。
众所周知でしょうが、听写に限らず、リスニング全般の話で、非母語話者からすると「文脈から知らない単語を想像する」ってすごく大事で。
英単語で接頭語や構造から想像してみるみたいに、中国語だと「漢字ルーレット」回したりするじゃない?
そういう機会が、この本やってて結構あった。
だから結構新鮮な気持ちで取り組めた面もあったし、
(この筆者さんならおそらくこういう話だからこの単語(漢字)かな…)
みたいな想像力を働かせる練習として、悪くなかった…かなぁ…
教科書マニアの人だけ買って
まぁでもやっぱ推せないな。
試験対策なら各試験の「トレーニングブック」がある。
「耳が喜ぶ中国語」でもいいし、輸入書なら「HSK标准教程」やってほしい。
「読む聴く覚える1300/2500」もいいよね。
ある程度学習が進んで、「幅広い中国語に触れる」求められる段階が来たとしても、
じゃあ敢えてこれ選ぶかっていうとやっぱ違うと思う。
「聴く中国語」「時事中国語の教科書」やって。
物足りなければ、現地の新聞とか本とか生の文章が読めるならそっち読めばいいし、
4000円とか出すなら輸入書買って欲しい。
「预科专业汉语口语」か、「博雅汉语の高级飞翔篇」か、「经贸高级汉语口语」。
「汉语口语速成の高级篇」も好きだけど、普通はもう音源が手に入らないからやめときな。
こんだけやって、ほんでキクタンやって、成語やって、それでも、それでもまだこの教科書で勉強したいなら。
或いは「世の中にある全ての教科書を見てみたい」という特殊な趣味を持ってるなら、ギリ買ってもいい…うーん。
他にいい本いっぱいあるから!ね!