【綿町ダイアリー】#560 THE RIVER
久しぶりに「BORN TO RUN」を聴いた。
改めて僕は、ブルーススプリングスティーンの世界に身を置く心地よさを痛感している。
その感覚と余韻の中で次は「THE RIVER」を聴こうとしたが、残念ながら今の我が家にターンテーブルは無い。
再生デッキが無ければ、
LPレコードなんて、ただのインテリアである。
僕は仕方なく近くのTSUTAYAに出かけた。
スプリングスティーンのアルバムは、ビートルズと同じ「洋楽クラシック」の中に分類されていた。
もはやオヤジの音楽ということか。
TSUTAYAからの帰り道、
カーステレオに「THE RIVER」をセットする。
1曲目「The Ties That Bind」が流れてくると
自然と涙があふれてきた。
僕の中で溜めていたものが一気に溢れ出す。
やっぱりイイな。
最高だ。
そう言えば、村上春樹「騎士団長殺し」の中で
このアルバムを取り上げた一節があった。
今の僕のようにCDで聴くのは邪道らしい(笑)
少々長いが、春樹さんの文章をそのまま引用する。
最後に村上春樹らしい「THE RIVER」をどうぞ。
“ 私はブルーススプリングスティーンの「ザ・リヴァー」をターンテーブルに載せた。ソファに横になり、目を閉じてその音楽にしばし耳を澄ませていた。一枚目のレコードのA面を聞き終え、レコードを裏返してB面を聴いた。ブルーススプリングスティーンの「ザ・リヴァー」はそういう風にして聴くべき音楽なのだと、私はあらためて思った。A面の「インデペンデンス・デイ」が終わったら両手でレコードを持ってひっくり返し、B面の冒頭に注意深く針を落とす。そして「ハングリー・ハート」が流れ出す。もしそういうことができないようなら「ザ・リヴァー」というアルバムの価値はいったいどこにあるのだろう?ごく個人的な意見を言わせてもらうなら、それはCDで続けざまに聴くアルバムではない。優れた音楽を聴くには、聴くべき様式というものがある。聴くべき姿勢というものがある。”
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?