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サンテ:グジュペリ作『星の王子さま』を読んで

私は変な経緯で『星の王子さま』に出会いました。

以前から、『星の王子さま』がとても有名な小説で、人気があることは知っていました。何人かの知人から、勧められたこともあったと思います。
10年ぐらい前に一度ブームになったこともあったと思います。
でも、その時は私はあまり『星の王子さま』には興味がありませんでした。

ですが、4月から私は人間関係に悩むようになり、人と会うのが怖い、苦しいと思うようになりました。
理由は今もはっきりとは分かりません。
私が感じている人への好意に人が付け込んできて、周りの人が自分をコントロールしていると思うようになりました。
はっきりとNOをいうことができない私の性格を発見しました。

そんな時に新聞でマリー=フランス・イルゴイエンヌさんの『モラル・ハラスメント - 人を傷つけずにはいられない』が紹介されており、図書館で借りて読みました。

私の苦しみに似た何かを、この本を読んで感じました。
私の苦しみは、誰かからのモラルハラスメントであったと断言するのは間違っていると思います。

でも、中間管理職的な立ち位置の私を、折につけてコントロールしようとする人がいると認識するようになりました。
そのモラルハラスメントの沼に自ら嵌りに行く私がいることに気がつきました。
今後の自分がモラルハラスメントの被害者にならないように、モラハラについて知識をつける必要があると感じました。

もっとモラルハラスメントについて知りたいと思い、モラルハラスメントについての本をインターネットで調べました。そこで安冨 歩作『誰が星の王子さまを殺したのか』を見つけました。

これは経済学者であり、幅広い知識を持つ安冨先生が
星の王子さまはモラルハラスメントの被害者であり、モラルハラスメントによって自死した
という仮説を検証している本です。

率直な感想として、楽しく読むことができました。
この時、私は『星の王子さま』を読んだことはなく、『誰が星の王子さまを殺したのか』の文中で紹介されているあらすじ程度にしかストーリを知りませんでした。
この本を読み、
『星の王子さま』が誰の翻訳の『星の王子さま』なのかによって解釈が分かれ
「飼い慣らす:apprivoiser」という言葉をめぐる支配に関する奥行きを持った作品だという事を知りました。

次に私はサンテ:グジュペリ作・三田誠広訳『星の王子さま』を読みました。

確かに『王子さま』はモラルハラスメントの被害者ように感じました。
『王子さま』はモラルハラスメントに苦しみ、さらに周囲を攻撃しているのようにも感じました。『王子さま』が周りからのストレスによって刺激され、そして『ぼく』に加害するという加害の連鎖が見えました。

一旦、モラルハラスメントは置いときます。
『星の王子さま』を読んで、最初に思ったのは、『王子さま』は明らかに成長過程にある人間のように感じました。

さらに出てくる様々な星の人間も、『王子さま』と対比的に「大人」として描かれていますが、
他人の価値観を受け入れらない、意固地な面がある、単に年を重ねた人達、私が目指す大人ではないと感じました。

『キツネ』は、人生経験は色々あって物事はよく考えているけど、若い人に説教が好きな、『説教おじさん』に感じました。

唯一、私が魅力的な人間に感じたのは、宇宙飛行士の『ぼく』です。
『王子さま』を受け止める力のある人間だと思いました。
大人だと思いました。

『バラ』も『王子さま』も、
「自分の秘密を大切にし、自分にはかけがえのない価値があり、特別な存在なんだ」と思いすぎていると感じました。
『バラ』も『王子さま』も自分の気持ちを大切にしすぎていると感じました。

(これは私の心の反映でもあります。私は今、必死に自分が代替可能な部品であり、自分なんて大した人じゃないだと自分に言い聞かせています。)

宇宙飛行士の『ぼく』と友達になりたい。『ぼく』になりたい。

2年後ぐらいにまた『星の王子さま』を読んでみたいです。
今とまた違った感想を持つことができると思います。

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