「柘榴」

庭の石榴の実が割れ
宝石のような赤い果肉が
こぼれ落ちそうになっている

通りすがりの白髪の女性が
ひとつ求めてやってきた
懐かしいという
子供のころによく食べたという

花鋏で切り落として分けてやった

窓から眺めていると
鳥が果肉を啄んでいた

石榴の種は鳥に運ばれ
見知らぬ土地に落とされ
やがて
そこでまた実を結ぶ

命は繋がれる

人間もまた命を繋ぎ繁栄をしてきたが
この命を
次の世代へ繋ぐことはできるのだろうか

人間は多くを破壊しすぎた
種を落とす大地は残っているか


いいなと思ったら応援しよう!