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「リーダーシップの旅~見えないものを見る~」を読んで。

休みに入り積読されている本を読み漁る中で「リーダーシップの旅~見えないものを見る~」がかなり響いたので、少し感想を書いておきたい。

「リーダーシップの旅」

この言葉だけ聞くと、とてつもなく遠い世界の話に聞こえてくる。リーダーとは、ビジョンを示し、たくさんのことを決断し、周りを引っ張っていくイメージがあり、自分とは無縁なものとして捉えてしまう。

ただ、この本に書かれている「リーダーシップの旅」とは、基本的に「見えないものを見ようとする」という姿勢と行動があれば、誰にでも旅の道は開かれるとされている。

では、「リーダーシップの旅」をどうやってスタートさせるのか?
「リーダーシップ」と聞くと他人をリードすることを想起しやすいが、この本でいう「リーダーシップ」とは自分をリードすることが起点になる。
そして、自分をリードする力の源について次のように述べられている。

「リード・ザ・セルフの力の源になるのは、何のために行動するのか、何のために生きるのかについての自分なりの納得感のある答えだ。」

自分をリードし、「何のために」を内省して行動する。そして、頭だけでなく心から「旅に出たい(見えないものを見たい)」と思う。そうすることにより、「リーダーシップの旅」の一歩が始まるのである。

一方、私も含め多くの人が組織に属している。組織に属しながら、自分をリードする力の源が削がれていく感覚を多くの人が体感しているのではないかと思う。例えば、新入社員の時に「ああしたい」「こうしたい」と想っていたことが、組織に属する中でいつしか削がれていく感覚である。

「人はいったん組織の論理に従って生きる術を身につけてしまうと、いつの間にか慣行に従い、みんなと同じものを見るような生き方に染まってしまう。・・・組織にとって正しいことが自分にとって正しいことと言い聞かせるようになり、いつの間にか、組織の成功が自分の成功と無意識に思い始める。そうした生き方、考え方を前提とした行動が、組織の中で評価されてしまうと、ますます個と組織の同化が進み、私たちの目には『見えないもの』が見えなくなる。」

皮肉なのだが、リーダーシップを重んじているはずの組織にハマればハマる程、「見えないもの」を探しに行く旅が閉ざされていく傾向にあるのだ。では、組織とどのように付き合えばいいのか?著者である野田さんはリーダー育成プログラムでの一コマを引用し、次の通り述べている。

「このプログラムは、あなたがこの会社を舞台にして、どうやったら大きく羽ばたけて、社会に対して最大限の価値をもたらしうるかを考える上での支援をするためのものです。そんな人たちが社内にあふれるようになった時、この会社は本当の意味で世界に羽ばたき、イノベーションを世に送り出せる企業であり続ける。」

自分が組織を利用して何ができるのか?この視点が「リーダーシップの旅」にとって重要であり、そのような個の集まりが結局は組織を強くするのである。

この本で述べられている「リーダーシップの旅」とは、一度きりの人生において多くの壁にぶつかりながら見えないものを見ようとする「人生という旅」なのだと思う。せっかく良書に出会ったので、これから自分なりの「リーダーシップの旅」の一歩を踏み出したい。

最後に、「人生という旅」という言葉で最も記憶に残っているのが、中田英寿の引退メッセージである。まさに「見えないものを見よう」とする「リーダーシップの旅」への決意であり、10年以上経った今も色褪せることなく寧ろ新鮮ささえ感じさせてくれる内容である。

俺が「サッカー」という旅に出てからおよそ20年の月日が経った。

(中略)

みんなの声を胸に、誇りを失わずに生きていく。
そう思えればこそ、この先の新たな旅でどんな困難なことがあろうと
乗り越えていけると信じられる。

新しい旅はこれから始まる。


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