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昔読んだ本を読み返してみた(僕は君たちに武器を配りたい)

週末、本棚を眺めていると何となく「僕は君たちに武器を配りたい」という本が目に入り、読み返してみたくなった。

本書は、これから社会に旅立つ、あるいは旅立ったばかりの若者が、非情で残酷な日本社会を生き抜くための、「ゲリラ戦」のすすめである。

この本は、なかなか刺激的なイントロで始まる。

なぜこの本を手に取ったか?

もう10年近く前になるが、社会人になって初めに配属された事業所の閉鎖が決まり、どこに向けていいのか分からない危機感から、とにかく自己啓発本を読みまくった時期があった。そんな中、本屋で手に取った一冊がこの本であった。当時の印象は「自分の頭で考える」「ひと手間かけることで人との差別化をはかる」。そんな感じだったと思う。それがこの10年間、継続して出来ていたかといえば・・・なところもあるが、かなり視座を上げてくれた本であった。

久しぶりに読んで

この本は若者向けに書かれており、今やターゲットの層とはかけ離れているが、当時よりも言葉が響いたのと同時に、言葉の重さを感じられた。

サラリーマンとは知らないうちにリスクを他人に丸投げするハイリスクな生き方。リスクは自分自身でコントロールせよ!

この言葉は、10数年間サラリーマンとして生きてきた自分にとって痛いほど突き刺さる。この間、仕事で色々と成果を出してきた部分もあるが、やはり会社に守られていたからこその部分が大いにある。リスクを他人に預けているから安心できる一方で、いるはずもない「会社君」にリスクを丸投げするのは極めて危険だということは妙に腑に落ちる。

生き残れない2つのタイプと生き残る4つのタイプ

この本を強引に一言で要約すると人材もコモディティ化するため、スペシャリティな人材になれということである。簡単に言えば代えのきかない人材になれと。お金を稼ぐことができる人材として6つのタイプがあるが、そのうち2つは生き残っていけず、4つは生き残るだろうと推察している。

生き残れないタイプ
①商品を遠くに運んで売ることができる人(トレーダー)
②自分の専門性を高めて、高いスキルによって仕事をする人(エキスパート)
生き残れるタイプ
③商品に付加価値をつけて、市場に合わせて売ることができる人(マーケター)
④まったく新しい仕組みをイノベーションできる人(イノベーター)
⑤自分が起業家となりみんなを管理してリーダーとして行動する人(リーダー)
⑥投資家として市場に参加している人(インベスター)

①②、③~⑥の違いは単純に商品そのものに対して価値を創造できているか否かだと思う。要は自己満足ではなく、市場が何を求めるか?どうやってそれに応えるか?を自分の頭で考える。そういうタイプが生き残れるわけだし、そういうタイプに希少性があるということだろう。
この本は極めて視座が高く、求めるレベルも相当高い。誰もがそのような生き方を望んでいるわけではないだろう。だけど、コロナの影響で個別化が進み、ゲリラ戦がやって来るのがなんとなく見え始めている今だからこそ、どう戦うか?そんなことを誰もが一考する必要はある思う。

投資家として生きること

この本は、一貫して投資家的に生きることを考えさせてくれる。投資家的に生きるというと、株式投資で儲けて生活をすることをイメージするかもしれないが、そうではない。真の意味での「投資家」になることを説いている

自分の時間と労力、そして才能を、何につぎ込めば、そのリターンとしてマネタイズ=回収できるのかを真剣に考えよ

これが真の意味での「投資家」であり、著者である瀧本哲史さんが配ろうとしている武器なのである

最後に

著者の瀧本哲史さんの近況が気になり、ネットで検索をしたところ昨年逝去されていることが分かった。まだ47歳という若さであり、ご本人もやり残したことが沢山あったと思う。ただ、この本の内容は、10年経った今も色褪せないし、さらに不透明さが増した今の方が輝きを増している。そして、瀧本さんが若者に向けたこの本は、自分の中では歳を重ねるたびに重みを増していくような予感がしている。

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