『Bomb Rush Cyberfunk』デモ機を試遊してきました
2000年にドリームキャストで発売された『Jet Set Radio』に心を奪われ何周しても飽き足らずプレイしていた時期があった。改造されたインラインスケートを装着した主人公たちがグラインドと呼ばれるレールや壁を滑走する動きで素早く移動し、グラフィティと呼ばれるスプレー絵をストリートに描くことでチーム間の抗争をするストーリーのゲームだった。グラフィティはヒップホップ四大要素の一つだが、ゲームの中ではロックやテクノの楽曲も使われていてサブカルチャーの集合体の様な世界観でコアなファンを作り上げた。遠回しに言ってみたが、ドリームキャストが覇権を取れなかったこともあってこのゲームは大きな話題にはならなかった。続編の『Jet Set Radio Future』を最後に続編は作られていない。『Jet Set Radio Future』は移植されていないこともあって、こちらは遊んでいない。
が、コアなファンがのべつ幕なしに「続編はまだ?」と言い続け、ゲーム内の楽曲の多数を手掛けたHideki Naganumaになぜか問いかける者が跡を絶たず(セガをとうの昔に退社しているため、ある時期まで本当にその手の問い合わせが多く大変だったらしい)、このゲームに影響を受けたキッズが大人になり、とうとうフォロワーゲームを作り始めた。代表的なところでは『Hover : Revolt Of Gamers』(Hideki Naganumaも楽曲提供している)だが、これは本家以上に話題にならなかった(それなりに売れたっぽいけど)。自分でも遊んでみたが、高低差まで含めた広大すぎるマップの複雑さが受け付けず、ちょっとした覚えゲーみたいになっているのが違うなぁと思ってハマらなかった。そりゃ本家そのままより進化系を見せたい気持ちは分かるが、マップも含め操作系など複雑化するところはそこじゃないのでは?と違和感が先行したままプレイを終えてしまった。
それから数年して新たなフォロワーゲームの開発が発表された。『Lethal League』シリーズのデベロッパーTeam Reptileが手掛ける『Bomb Rush Cyberfunk』である。このゲームもまたHideki Naganumaが楽曲提供しており、短いながらも作り込まれたトレーラーから独特な世界観がうかがえる。フックの強いイントロが期待感を強く煽る。
前置きが長くなったが、7月14~16日に京都で開催された『BitSummit Let's Go!!』でこのタイトルがしれっとプレイアブル展示されていました。海外のゲームイベントではプレイアブル展示が始まっていたらしいので世界初ではないが、日本では恐らく初めてなんじゃないだろうか。プレイしている人の後ろに立って順番待ちしていたらブースの人にSteam Deckを渡されてこっちで遊べと言われたのですぐに遊ぶことができた。
危惧していたのは操作感といらぬ複雑化が施されていないかという点で、こればかりは触らないと分からないと思っていたが、結論から言うと心配は無用だった。今回のデモ版はチュートリアルステージと思われる箱庭を時間制限なく操作できるというもので、この時点で「分かっている」感がある(何か条件満たせばストーリーの方へ行けたのかもしれないが時間がなくて未確認)。主人公たちはスケボー、インラインスケート、BMXなどを使って走るが、『JSR』同様にレールや壁の上を滑走し、大きなジャンプを決めて自在に移動する。トリックはグラインド中やジャンプ中に三種のトリックボタンを押して決めるシンプル仕様。更にはジャンプ中限定のエアダッシュがあり、これは距離やスピードが足りない時の補助になる。エアダッシュとは別にブーストボタンで大幅な加速もできるが、これは基本的に地上を走る用で空中で使うとすぐに着地してしまう。要は早くグラインドできるポイントへ移動できるようにという心遣いなのだろう。そのためゲーム全体としては速いスピード感だが、箱庭そのものが広いため吸収できていて操作しやすい。レールとウォールの配置も分かりやすく、初見でも「あぁ、ここからあそこへ飛ぶのがセオリーなんだな」と直感でルートを作れるようになっていたのが印象に残っている。
マップのオブジェクトはレール、ウォール、以外にポールがあった。これはグラインドすると重力を無視して真上へ滑っていく。ある程度の高低差をマップに組み入れなければ「最近のゲームっぽさ」が出ないところだが、まさかの真上移動で違和感の無いマップ構成を作って解決させてしまった。この他にも天井に埋め込まれたレールなどもあり、これはキャラクターが真っ逆さまの状態で堂々とグラインドをキメて滑走する。その他にはハーフパイプがあり、これは高速で突っ込むと真上に飛び上がりトリックを出せる状態になる。将来的には ハーフパイプ⇒天井レール といったルートが作れるかもしれない。
そしてグラフィティだが(よく考えるとここまで酷似させたゲーム作って大丈夫なのか?)、『JSR』では事前に選択しておいた絵が使われる仕様だったが、今作では絵毎にコマンドが存在しているようで、携帯電話のUIから絵のコマンドを確認することができる。
つまりコマンドを暗記しておけば描く絵を選べるということになる。もちろん何でもいいならその時表示されているUIに従ってスティックをグリグリ動かせばグラフィティは完成する。
というわけでデモ版を触ってみて分かったのは、必要な要素は足され、それでいて難解なゲームにならないよう親切設計されているということでした。15分くらいしか遊んでいないのと、細かいところ(スライディング移動とかトリック移動とか)まで書くとキリが無いので多少端折ったところもありますが、スケボー、インラインスケート、BMXで性能差が若干あるっぽい雰囲気は感じました。「このゲームいつリリースですか?」と聞いても首を横に振られたが、ストアページ見たら普通に8月19日(日本時間だと18日?)発売と書いてあった。じゃあなんで教えてくれないんだw とりあえず発売されてすぐ買ってハマれるゲームであるという確信は持てました。
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illustration:あすま(@asu5m843B)