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エチオピアに行ってきました

 2022年12月上旬にコーヒー生豆の仕入れを視野に入れたエチオピア視察に行ってきました。エチオピアとはアフリカ大陸の東部に位置する国で面積が日本の3倍ほど、人口は1億人ほどの国です。公用語はアムハラ語と言われていますが80ほどの民族が暮らしておりそれぞれの民族が言語を持っているため民族が異なると言葉が通じないことも珍しくないそうです。

 エチオピア到着第1日目。飛行機が到着したのは空港のある首都アディスアベバ。標高2400mを超える高地で一年の気温は9℃~24℃の都市。私が訪問した12月上旬は夏の軽井沢を思わせる気候でした。アディスアベバは日本の東京にあたる大都市で交通量は多くしかも基本的に信号はなくロータリー形式なので常に渋滞をしている状況でクラクションの音が至るところで鳴り響いています。車は日本製のものが多く、中でもトヨタ、スズキが人気。中には30年以上昔のモデルも多く見かけその光景はさながら博物館のようでした。


 市内は交通量が多いためロータリー内に入ると自ずと速度がゆっくりになります。そうするとロータリー内に座り込んでいる人たちが果物などを売ってきます。アディスアベバに限らず今回訪れた田舎を含めて露店がとても多い印象があります。また、店舗がなくても手に果物等をもって車の窓を叩いて売りに来る人もいますし、場合によっては何も手に持たず窓越しに“お金が欲しい”と言ってくることも珍しくありません。


 エチオピアはとにかく物資が乏しい国という印象でした。アディスアベバはまだモノがある方でしてそこから離れれば離れるほど何もなくなっていきます。車は高級品で首都を離れると車の数は一気に少なくなりトゥクトゥクのような三輪車がタクシーとして活躍していて地元の人の多くは車を持つことができないためタクシーを使用しているそうです。

 ライフラインも全体に普及はしているわけではなく、私たちが宿泊したホテルは電気、水道が使えトイレも水を流せましたが一般家庭は床は土そのもので壁は土、屋根は茅葺のようなものやトタン屋根を載せただけのものである建物が多くみられました。水はどこかから汲んできたものを使用し、料理は屋外に台所を設け焚火で煮炊きをするところを多く見かけます。川を渡るときにはそこで洗濯をしている光景を見かけることも珍しくありません。 

 前述したとおり道路沿いには露店が多くありスイカやパパイヤ、バナナが多く販売されています。フルーツ自体は美味しいのですがそれをカットする包丁が衛生的ではなく、私たちをガイドしてくれた現地のドライバーが気を利かせてパパイヤを買ってくれ、その場でカットしてくれたものを食べたのですがそれを食べた日本人は見事にお腹を壊しました。私は胃腸薬を持っていたことが幸いしてそれほど大きく体調を崩すことはありませんでしたが体調管理の難しさは痛感します。

 滞在中ほとんどの時間を移動に費やし、車窓から見た風景には幼稚園児くらいの子どもから30代くらいまでの人が多くみられました。同行してくれたケニア人が話してくれたエチオピアの抱える問題点として20代の人で仕事をもたない人が多く時間を持て余している人が多くいるということや都市部は就学率が10割近いものの地方に行くと学校に通えない子もまだまだ多く国全体の就学率は7割くらい。また50代以上の人をほとんど見かけないのは平均寿命が日本よりはるかに短いことなどを聞かされ日本と大きく異なる事情に驚きを隠すことはできませんでした。

 それでも地方で見かける人たちの表情は決して暗いわけではなく、町は活気があり人はやさしい印象があり、確かにモノはありませんが不幸せな印象はあまり持ちませんでした。そして都市部では経済的な貧富の格差を感じはしましたがそこらじゅうで高速道路の建設など大規模な工事が行われており急激な変化が起きていることを肌で感じました。今回のエチオピア訪問を企画してくれた人の話では数年前までコーヒー農園まで場所によっては舗装されていない道路を10時間以上かけて移動していたのに今回はどこへ行くのにも高速道路まで整備されており4時間程度にまで移動時間が縮まったそうで急激な道路整備などが進んでいるそうで急激に道路が整備されているということでした。

 たった数日の訪問とはいえ、現地に住む人とともに過ごし話を聞いていると物資は乏しく経済的に見れば貧困な国であるエチオピアですが、コーヒー農園で働いている人たちに限らず話した人はそのひと言では括れないものを感じ、それは経済的な変貌を遂げてしまったときに果たして残っているのだろうかと考えてしまうところもありました。

 一回の訪問ではまだ何とも言うことができず、来年も買い付けの時期に訪れて次回は“一般的な土壁、トタン屋根の家にホームステイして地元の生活を体験させてほしい”とお願いをしたのでそれを体験してもう少しエチオピアの生活を実感したいと思いました。

 食事の話なるとエチオピアの主食は“インジェラ”と呼ばれるテフという穀物の実をすりつぶして水と混ぜてこねて発酵させたものを焼いたパンケーキのようなものなので、それに豆やら肉やら(豚は食べない国です)を載せて右手だけを使って食べるのですがインジェラが酸っぱくて酸っぱくて(笑)しかも食べるとガスでお腹が張ってしまい大変でした(でもこれが出される料理のすべて)。たまにレストランに行けばパスタなどを食べることができました。エチオピアはイタリアの統治下にあったのでイタリア料理が多い、コーヒーはジャバナを使った伝統的なものがほとんどですが一部カフェではエスプレッソマシンやマキネッタ(いずれもイタリアの飲み方)で提供するところもあります。

 エチオピアは日本とあらゆる面でたくさんの違いがありましたがどちらがいいということは言えず、どちらにも魅力を感じます。その中で何でも欲しいと思ったものを購入することができる日本が決していいわけではなく、ものがないからと言ってそれが必ずしも改善しなければならない状況とはいいきれないのではないかと答えはでないものの色々なことを感じるエチオピア訪問となりました。今回の訪問は仕事で行ったのでコーヒー農園や精製所などの視察をし、今年収穫されたものを品評して買い付けするかどうかを考えます。そして現地ではまだ収穫期が終わるまで随時サンプルが送られてきてその中から買い付けたいものがあれば購入するという流れになっていきます。

もし今回訪問した農園のコーヒーを日本に持ってくることになったらぜひそのエチオピアのコーヒーを飲みながら現地のことを想像してみてください。

 今回は現地に足を運ぶことの大切さを感じました。今後は継続的にエチオピアを訪れることができる自分自身になるようになっていきたいと思います。 

  

 

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ナカジ
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