『ブラジル風魚介郷土料理仕立てココナッツ香るライス』について
世の中には様々な○○風の料理があります。
それは旅人であるわたしにとって非常に由々しきことです。
なぜなら全く、○○風ではないから。
もちろん郷土料理は現地でいただくのがベストだと思うのですが、今はネットでご当地料理をいくらでも取り寄せられるので、実際わたしも食べることが目的の旅は減りつつあります。
遠方の名産品や特産物を使った名物料理を電子レンジであたためているときは、時空を超えた真理を調理している気分になったりもします。
そして出来上がった料理を食べたときに、そのレンジのマイクロ波の風を特産地の空気として感じることができたら、初めて本物に準ずる○○風と呼べるのです。
わたしにとっての○○風とは、○○っぽいではなくて○○に極めて近い、○○の風を体感できるものであってほしいのです。
だからメーカーや飲食店が安易に謳ってる、○○風の料理の大半は許しがたいのです。
これまでに何度ひどい目に遭ったことでしょうか。
挙げればキリがないのですが、ミラノ風ドリア、生秋鮭のプロヴァンス風グリル、明石のタコのガリシア風アヒージョ、関西風稲庭うどん……。
これらの全ては食べる人を悲しませるために生まれたのか、食べない人に笑われるために生まれたかのいずれかだと思います。
そんな中、今日はローソンでさらにとんでもない産物に遭遇しました。
それがこの『ブラジル風魚介郷土料理仕立てココナッツ香るライス』です。
ここまでくるともう誰からも信じてもらえないのは覚悟の上で販売しているとしか思えません。
『風』と『仕立て』と『香る』の「本場ではありませんけど」の3点セットが、ひとつのおにぎりに含まれちゃってるんですから。
とはいうものの……、100円という安価だったので100%疑ったまま購入しました。
おそらくローソンの商品開発部の彼氏いない歴四年のボサノヴァ好きアラサー女子社員は、消費者にサルバドールあたりの郷土料理であるムケッカをイメージさせようとしたのでしょうが、レンジであたためてもブラジルの熱風は微塵も感じられませんでした。
ブラジル料理にどれくらい遠い味かというと、ちょうど地球の反対側くらいの距離感でした。
ココナッツさえ香らないのですから、いったいどれ程の微量を添加したのでしょうか。
商品名への記載事実は、ことごとく虚偽と化し、ケチャップの味しかしないのです。
ローソンの思惑と食後感を忠実に表現した商品名を付けるなら
ブラジル風誤解仕立てのリオ五輪がんばれ日本ケチャップごはん
といったところでしょうか。
食べ方としては
ブラジルの鶏と炒めてふわとろの卵で包みこんでください
以上、気が付けば『絶品ブラジル風チキンオムライス』の作り方でした。
エスタ・ゴストーゾ!