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『冬・花・火』 (短歌連作10首)

牢獄にひとり暮らして省みる一人暮らしに憧れたころ

頑張っているとは限らないのです頑張っている顔に生まれて

素晴らしい雨に降られて空に問う最後に泣いた日はいつだろう

花柄の手鍋を買った上野からあなたにはもう帰りたくない

これ以上無理だと思う私たち部屋に置き忘れたカードキー

手つなぎがピークだったね安全な火遊びはもう出来ないんだね

クッキーは上手に焼けなかったけど私らしさの欠片をどうぞ

窓際のミニシクラメン枯れながら枯れた私を見下している

何にでも名前を付ける人にまだキミと呼ばれている三年目

泣き声をかき消すように北欧の手鍋の中で咲け冬花火


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