繰り返し囚人のジレンマゲームの実験の成果(一般向けまとめ)
専門家にはしょぼいし、一般向けには難しすぎるのでこちらに投稿するのが一番迷う投稿ですが、Gift Giving 系の実験結果が一般でもあれだけ有名になっているのに比べれば、こんなに面白い繰り返しゲームの実験結果ってあまり知られてないんじゃないですか?これは社会で共有すべき結果だと思うのでぼちぼちfacebookでも投稿しようかと。
例えば、Dictator GameがNHKスペシャルでも放映されているくらい、take it or leave it offer のゲームを中心に gift giving 系のゲームの実験結果は有名ですよね。流石にtake it or leave it offer の部分ゲーム完全均衡は流石にゲーム理論習っていないと知らないとは思いますが。それに比べると繰り返しゲームの実験も結構昔から行われていて結果も非常に興味深い割りにあまり知られていないんじゃないかと。いや私が知らなかっただけかもです、はい勉強します。
また、ゲーム理論周辺で研究してますが、実験経済学者から見るとまだまだ素人ですので、間違っていたらご指摘いただければ幸いです。
最近この分野の大家と研究をご一緒させていただいていて、ようやく(遅すぎです、すいませんすいません)目からウロコのすごく面白い結果に気付きつつあります。以下DAL BO´ A.E.R. 2005 からの引用を中心に。
1)いわゆる無限繰り返し型のゲームでも協力率は結構低く、50%くらいかそれ以下(へえ^10) 実は8割は超えると思ってたんです。当然folk 定理からは任意の協力率が均衡になりますが、でも個人的には相当驚きです。
Duffy and Jack Ochs (2004) find high levels ofcooperation (55 percent) in repeated prisoner’s dilemma games with a probability of continuation of 0.9,
2)有限回繰り返しでも協力は起こる(へえ^10) 。
Finding positivelevels of cooperation, economists have often concluded that preferences that differ from financial incentives are an important determinant of human behavior
以上 Cooperation under the Shadow of the Future: ExperimentalEvidence from Infinitely Repeated Games PEDRO DAL BO´ A.E.R. 2005 https://www.aeaweb.org/articles… より。
3)ただし協力率は終わりに近づくと落ちる。
例:Equilibrium Selection and Strategy: Experimental Evidence from an Infinitely Repeated Transboundary Public Goods Game
https://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=3186046
4)実験で事前にコミュニケーションの機会があると協力率が上がる。
5)関係が長くなると思う閾値があって、それを超えたらったら協力率が上がる(昨日教えてもらった話)。
Subjects converge to use threshold strategies that conditionally cooperate until a threshold round; and conditional on establishing cooperation, the first defection round moves earlier with experience.
「Cooperation in the Finitely Repeated Prisoner’sDilemma
http://econ.ucsb.edu/~se…/EmbreyFrechetteYuksel_June2017.pdf」
6)通常の繰り返しゲームに比べるとVSRPDで一度協力が形成された後の協力率は非常に高い。
おおよその感覚はDAL BO´ A.E.R. 2005の以下の表を参照してください。1ラウンドでも協力は起こるし、逆に高いdiscount factor (separation rate)でも50%くらいの協力率です。
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